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セーフスポーツを次期スポーツ基本計画の中心に

求められるセーフスポーツ・センターとセーフスポーツ法

スポーツ庁、2026年1月28日。 © 2026 Hanna Yumura/Human Rights Watch

スポーツ庁は現在、第4期スポーツ基本計画を策定中です。これは、2027年からの5年間に、政府が取り組むスポーツ施策の重要な指針となるものです。同計画の中間報告では、暴力やハラスメント、SNS 上の誹謗中傷、スポーツ事故など、日本での競技者への暴力に関する従来からの懸念が認識されています。しかし、暴力・暴言等の防止と、セーフスポーツを実現させるための包括的な枠組みは示されていません。

この欠落は、2025年の改正スポーツ基本法の内容を踏まえると、とりわけ深刻です。同法は、スポーツを行う者への暴力、暴言、あるいは性虐待などに、国および地方公共団体に対して、必要な措置を講じることを明確に義務づけています。第4期スポーツ基本計画は、こうした法的義務を具体的な行動へと移すべきです。

スポーツにおける人権の保護強化を目的に、ヒューマン・ライツ・ウォッチはパートナー団体などとともに、独立したセーフスポーツ・センターの設立と、セーフスポーツ法の制定を政府に求めてきました。現在の日本の制度は、苦情申立てを受け付け、対応をする仕組みを、主に個々のスポーツ団体に委ねています。スポーツをする人は、虐待を相談することを、ためらうことが少なくありません。報復を恐れたり、加害者とつながりのある団体を信頼できなかったりするからです。また、通報相談窓口の仕組みは、競技によって大きく異なり、救済手段や支援へのアクセスにばらつきが生じています。

中間報告は、3つの重点課題を軸に構成され、それぞれに関連する重点施策、目標、基本施策、および背景情報などが付されています。

重点課題1では、中間報告の目標の一つとして、「スポーツ関係者のコンプライアンス違反や体罰、暴力等の根絶を目指す」ことが掲げられています。そして、複数の基本施策の一つとして、「ガイドライン等を通じて周知徹底」「ガバナンスコードの周知を行う」ことが挙げられています。

しかし、これらの施策は、暴力を防止するには極めて不十分です。現行の第3期計画にも及んでいません。第3期計画では、「スポーツを実施する者の安全・安心の確保」を、暴力根絶等に取り組む独立した固有の施策として、施策目標や具体的施策とともに掲げていました。実際、第4期計画は、この問題の位置づけを後退させ、独立した固有の重点施策としてすら掲げていないのです。

また、重点課題2では、中間報告は複数の重点施策の一つとして、「スポーツ・インテグリティの強化」を掲げています。そして、基本施策として、「質の高い指導者養成への支援」「アスリートや競技関係者に対する誹謗中傷対策/写真や動画による性的ハラスメントの防止」を挙げています。これらの施策もまた、第3期スポーツ基本計画の内容を主に引き継いだものにすぎず、暴力・暴言等を効果的に防ぐために必要な改革とはなっていません。

中間報告は、暴力・暴言等への主な対応を、意識啓発、指導者養成、コンプライアンス対策、ガバナンスコードに大きく依拠しています。こうした取り組みは確かに重要ですが、スポーツをする人の権利の確保には不十分です。私たちは政府に対し、暴力・暴言等の防止と、スポーツ・インテグリティに関する計画の施策を、大幅に強化するよう強く求めます。とりわけ、日本版セーフスポーツ・センターの設立と、その根拠となるセーフスポーツ法の制定が求められています。

アスリート、子ども、指導者、審判をはじめ、スポーツに関わるすべての人は、暴力や性虐待、ハラスメント、差別を受けることなくスポーツに参加できなくてはなりません。日本の次期スポーツ基本計画は、セーフスポーツを中心に据え、誰もが安全で、インクルーシブで、権利が尊重される環境で、スポーツができるようなものになるべきです。

独立したセーフスポーツ・センターは、安全で信頼できる通報相談窓口を提供し、苦情が一貫して処理されるようにするとともに、申立の処理の監視にも役立ちます。セーフスポーツ法は、スポーツをする人の権利保護と、こうした機関の設立のための法的基盤となります。

日本はすでに、スポーツに暴力・暴言等があってはならないという認識を、法律によって示しています。第4期スポーツ基本計画では、この約束が行動に移されなければなりません。法律によって定められた義務を果たすためにも、日本は、第4期計画の中核にセーフスポーツとスポーツをする人の権利を据えるべきなのです。

土井香苗はヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表、湯村帆名は同アジア局オフィサー。

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