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日本:暴力・暴言等から選手を守るスポーツ基本法改正

東京オリンピックから 4年、日本政府が子どもの保護にコミット

スポーツへの参加は、子どもがスポーツの楽しさを経験するとともに、心身の発達と成長の機会であるべきだ。しかしながら日本では、子どもがスポーツのなかで、暴力等の虐待を経験することがあまりにも多い。写真は、オリンピックスタジアムと、スポーツをする日本の若者たち。 © 2019 imagenavi/Aflo; 2005 Doable/a.collectionRF/amanaimages; 2020 Human Rights Watch; 2015 Satoru Kobayashi/a.collectionRF/amanaimages; 2016 RYO/amanaimages; Trevor Williams/Getty Images; 2020 Human Rights Watch; 2016 Matsuo/Aflo; AdobeStock

東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催から 4 年が経ち、日本はついに、スポーツの現場での暴力・暴言等から選手を守る対応をとることになりました。2025年6月、国会で、スポーツ基本法(2011年)の改正案が可決・成立しました。そして、国および地方公共団体に対して、暴力、性的な言動、指導者などの優越的な関係を背景とした言動などに、措置を講じなければならないとしました。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは2020年に、日本のスポーツにおける体罰に関する報告書を発表し、スポーツのなかで子どもの虐待が慣習化し、学校からトップレベルのスポーツまで広く起きている実態を明らかにすると共に、スポーツをする子どもへのあらゆる形態の暴力・暴言等を禁止するよう訴えました。そして、報告書の発行後程なく、パートナー団体とともに、スポーツにおける暴力を根絶するため、国際キャンペーン「#スポーツから暴力をなくそう」を開始しました。

私たちが訴えてきた改革の切実さは、今も変わりません。2025年4月、高校野球の強豪校の監督が、選手を平手打ちしたとして処分されました。また2月には、中学の剣道部の顧問が生徒を竹刀で叩いたほか、夏場の練習中に体調が悪くなった生徒に、水分補給をさせなかったなどとして、処分されています。

長年にわたって発揮された日本のアスリートたちの勇気あるリーダーシップと、国内外からの圧力により、法改正の機運が高まりました。

2020年8月、国際オリンピック委員会(IOC)は、日本オリンピック委員会(JOC)に対して、日本のスポーツにおける暴力・暴言等やハラスメントを根絶するよう求めました。2023年4月、日本の6つの主要スポーツ団体は、「No!スポハラ」キャンペーンによる啓発活動を開始しました。

その他の注目すべき取り組みとしては、国内のスポーツ振興を担当する国の行政機関であるスポーツ庁が、各スポーツ団体の暴力・暴言等の通報窓口の一覧を公表したことや、日本のスポーツの中核的な統括団体である日本スポーツ協会が、指導者の処分規程・処分基準を施行したことが挙げられます。このほか、スポーツ庁では、学校の外部指導者に対する処分指針を策定する予定です。

今回のスポーツ基本法改正は、暴力が指導方法の一種として深く根付いている慣習を終わらせる転換点となるかもしれません。しかし、石破茂首相はさらに先に進むべきです。スポーツにおける暴力・暴言等に対処するという目標の達成の決め手になるのは、スポーツにおける子どもの虐待の報告を受け付けて、これに対処する独立した専門機関の設立です。日本政府が、選手への暴力の撲滅に真剣に取り組むのであれば、これは大変貴重な追加的な措置となるでしょう。

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