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日本の勝利の伝統に、虐待はあってはならない

日本とスポーツをする人のために、より安全な練習の文化を築く

掲載: The Japan Times
スポーツへの参加は、子どもがスポーツの楽しさを経験するとともに、心身の発達と成長の機会であるべきだ。しかしながら日本では、子どもがスポーツのなかで、暴力等の虐待を経験することがあまりにも多い。写真は、オリンピックスタジアムと、スポーツをする日本の若者たち。 © 2019 imagenavi/Aflo; 2005 Doable/a.collectionRF/amanaimages; 2020 Human Rights Watch; 2015 Satoru Kobayashi/a.collectionRF/amanaimages; 2016 RYO/amanaimages; Trevor Williams/Getty Images; 2020 Human Rights Watch; 2016 Matsuo/Aflo; AdobeStock

日本のアスリートたちは、サッカー、テニス、バレーボール、フィギュアスケート、体操、水泳、レスリングなど、多岐にわたる競技において、記憶に残る勝利や胸が張り裂けるような敗北を通じて、世界中のスポーツファンを熱狂させてきました。そうした勝利の瞬間は、そう簡単に手に入るものではありません。それらは、多くの場合、子どもの頃から始まる長年にわたる地道なトレーニングの積み重ねで築き上げられたものです。

本来ならば、その道のりは、子どもたちに遊びや競技の喜びをもたらすとともに、身体的、精神的、そして個人的な成長の機会となるはずです。日本のスポーツイベントでは、ミスをした後にファンが「がんばれ!」や「ドンマイ!」と声援を送るのをよく耳にします。これらは、完璧さよりも粘り強さを称える声援です。しかし、その精神は、舞台裏では失われてしまうことが、あまりにも多いのです。スポーツをする多くの子どもは、本来なら自らの成長を支えるはずの環境において、暴力、暴言、さらには性虐待にさらされているのです。

だからこそ、8月8日のセーフスポーツ・デーには意味があるのです。この日は、スポーツが、子ども、女性、障がい者を含むすべての人にとって安全で、インクルーシブで、責任あるものでなければならないと改めて確認するグローバルな機会です。2020年に、セーフガーディングへの国際的な取り組みを通じて設けられました。この日は現在、国際オリンピック委員会をはじめ、世界中でスポーツをする人の保護に取り組む様々な組織によって記念されています。

体罰

「セーフスポーツ」のメッセージは、とりわけ日本に深く関わるものです。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、日本の学校スポーツ、スポーツ団体傘下のスポーツ、トップレベルのスポーツで、日本の子どもたちが、スポーツの練習で頻繁に暴力・暴言等の被害に直面している実態を取りまとめました。2020年の調査は、現在スポーツをしている子ども及び子どもの頃スポーツをしていた人合計50人以上へのインタビュー調査、オンラインアンケート調査、そして全国のスポーツ団体の調査に基づくもので、暴力が指導文化に深く根付いたままであることを示しました。多くの指導者、保護者、さらにはスポーツをする人自身でさえ、体罰は規律を身につけ、競技成績を向上させるために受け入れられる方法だと信じ続けていました。しかし、体罰は、長期にわたる身体的そして心理的な危害をもたらすことは、圧倒的な証拠から明らかです。今年、日本から多くの選手が、冬季五輪やサッカー・ワールドカップ、そして間もなく開催されるアジア競技大会・アジアパラ競技大会などの世界の舞台で活躍する一方、暴力・暴言等に苦しんでいる子どもや家族が、依然として存在しているのです。

2013年、日本では、競技者への暴力の対応が宣言されました。近年、勇気ある元競技者の虐待経験者からの強い働きかけの下でこうした取り組みが加速しています。学生や保護者から現役・元スポーツ選手まで、たくさんの人びとが、日本でスポーツをする多くの人が直面している暴力・暴言等の根絶を訴えています。その圧力は、社会的に注目を集めた事件だけでなく、表面化しにくい無数の事案によっても生み出されてきました。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、子どもの顔をビンタする、バットや竹刀で殴るなど、正当な練習や競技とは無関係で暴力的な罰を与える暴力的な指導方法を記録しました。報告書は、こうした暴力・暴言等が、多くの場合、不適切行為として扱われるのではなく、当たり前のものとして存在してきたことを強調しました。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが記録した経験は、こうした暴力がいかに日常化し得るかを示しています。「数えきれないほど叩かれました」と、福岡県出身の23歳のスポーツ選手は、2020年に発表された日本のスポーツにおける子どもの虐待に関するヒューマン・ライツ・ウォッチの詳細な報告書で語りました。「みんなの目の前で顔を殴られました。血が出ていたんですけど、監督が殴るのは止まらなかったですね。」

これは決して孤立した事例ではありません。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、スポーツをする多くの人が、暴力的な指導をスポーツの一部として受け入れられているものとして語り、責任のある指導者に実質的な処分があったと報告した人はほとんどいなかったことを、明らかにしました。

必要とされてきた改革が、報告書の公表以降、発表されてきました。2025年6月、国会で、スポーツ基本法(2011年)の改正案が可決・成立しました。そして、国および地方自治体に対して、スポーツを行う者への暴力、暴言、あるいは性虐待の防止策を講じなければならないとされました。2026年1月、スポーツ庁は、暴力・ハラスメント行為の軽減に向けた対応策を含む、スポーツの安全対策改善のためのガイドラインを公表しました。

これらの改革は、2012年に大阪府の高校バスケットボール部の17歳の男子生徒が顧問から繰り返し暴力を受けて自ら命を絶った事件や、女子柔道日本代表をめぐる告発など、社会的に大きく取り上げられた虐待事件を受け、これまであった取り組みの上に築かれています。「スポーツ界における暴力行為根絶宣言」(2013年)や、2019年に策定されたガバナンスコードなどの初期の取り組みは、問題への認識を高める一助となったが、大部分は法的な拘束力を持たず、一貫した実施確保の仕組みを欠いていました。

しかし、依然として大きな課題が残っています。2031年までのスポーツ政策実施に向けた政府の5カ年計画である第4期スポーツ基本計画の中間報告書案には、日本での暴力・暴言等を防止し、セーフスポーツを確保するための十分な措置を示していません。これは、スポーツをする子どもを守る機会を逃しているだけでなく、新法の精神および条文にも反するものです。計画の最終決定までに、大幅に強化しなければ、ようやくなされた最近の改革そのものを台無しにしかねません。

一連の法改正やガイドラインの内容を現実のものにするために、日本にはスポーツ現場での暴力・暴言等に関する監視・通報体制の整備をいっそう進めることが求められます。現在、日本には、スポーツでの虐待(暴力・ハラスメント行為)の被害者(子どもとその保護者を含む)が、安心してそのような危害を通報し、助けを求めることができる機関がありません。ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査が示しているように、暴言、性虐待、いじめ、差別などを含めた身体的な虐待(暴力・ハラスメント行為)を受けたスポーツをする人は、たいていの場合、そのスポーツに関わる組織と関係のある仕組みやその幹部を通して通報することになります。これは、恐怖や利益相反、不信感を生みかねません。

ヒューマン・ライツ・ウォッチはまた、日本のスポーツ団体における通報制度が大きく異なることも明らかにしました。通報の仕組みが存在しない団体がある一方で、郵送やファクスでしか苦情を受け付けない団体もあります。何件の苦情が調査され、どのような制裁が科されたのかについて公開されている情報はほとんどなく、スポーツをする人や家族が、暴言・暴力等は一貫して対応されると信頼することを難しくしています。

スポーツをする人は、関与した指導者を監督する責任を負う組織そのものを通じて、暴言・暴言等を通報しなければならないことが多いです。この分断された不明確な制度では、防止、調査、処分に関するルールの策定が各スポーツ団体に任され、その結果、基準に一貫性が欠け、子どもの保護に大きな空白が生じています。

日本のNGO、アスリート、専門家などは日本政府に対し、スポーツにおける暴力を根絶し社会啓発活動をするための独立したセーフスポーツ・センターの設立を強く働きかけているところです。そのモデルとなるのは、オーストラリアカナダドイツオランダニュージーランドシンガポールイギリス米国などにある同様の機関です。各国の機関では、暴言・暴言等の通報、スポーツをする人の保護、そしてセーフスポーツの推進を担う独立した制度が提供されています。

秘密保持

独立したセンターは、スポーツ界全体に共通する一律のセーフガーディング基準を定め、秘密が守られる形で苦情を受け付け、独立した調査を行い、暴言・暴言等に関する全国的なデータを収集し、不適切行為があった場合には一貫した制裁を確保することができます。また、スポーツをする人が受けられる保護の内容が、たまたま所属する競技に大きく左右される現在のばらばらの制度を終わらせる助けにもなります。

このような機関は、スポーツ団体や有力団体から独立しているべきです。また、地域でスポーツを楽しむ子どもたちから国際大会に出るトップアスリートまで、誰でも利用できるようなものにならなければなりません。匿名相談を可能にし、専門的な支援を提供し、調査を行うとともに、加害者には適切な処分と更生の機会を提供すべきです。最も重要なのは、スポーツをする人に対して、自分の抱える懸念が、報復を受けることなく、聞き入れられ、公正に調査されるという確信を与えることです。

日本はすでに、スポーツをする人への暴力行為には政府の対応が必要であることを、法制度を通じて認めています。次の一歩は、こうした法的約束を国の長期的なスポーツ政策に確実に反映させることです。実効性のある実施がなければ、新たな法律やガイドラインは、それによって守られるはずだった子どもたちへの現実の保護ではなく、単なる理念にとどまるおそれがあります。

サッカーのフィールドで、スケートリンクで、またアジアや世界の舞台での日本の勝利は、祝福に値します。しかし、競技での活躍に見合うには、日本は、スポーツをするすべての人が安全に、恐怖を感じずに参加できることを確保しなければなりません。今こそ、独立したセーフスポーツ・センターを設立し、すべての人にとってセーフスポーツを実現すべきなのです。

皆様のあたたかなご支援で、世界各地の人権を守る活動を続けることができます。

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