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日本:袴田事件の再審無罪、司法改革の必要を示す

「人質司法」解消、死刑の廃止、国内人権機関の設置が急務

1966年の一家4人殺害事件の再審無罪判決後、袴田巌さん(右から2人目)と姉の秀子さん(右)に頭を下げる静岡地検検事正、2024年11月27日、浜松市。 © 2024 The Asahi Shimbun via Getty Images

(バンコク)―死刑囚として半世紀にわたり拘禁された袴田巌さんに対する再審無罪判決は、日本の刑事司法制度に大改革が必要であることを示していると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表した『世界人権年鑑2025』で述べた。日本の刑事司法制度には、保釈を認めず、長期の身体拘束をしたうえで弁護士の立会いなしに脅迫・誤導などの取り調べで自白を迫る「人質司法」という大きな問題がある。袴田巌さん(88)も1966年に逮捕後、一家4人を殺害したとの虚偽の自白を強要された。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、35年目の刊行となる年次報告書『世界人権年鑑2025』(全546頁)で、100カ国以上の人権状況を検証した。ティラナ・ハッサン代表は序文で次のように述べている。世界の多くの国々で、政府が政権批判者、活動家やジャーナリストに圧力をかけ、不当に逮捕・拘禁した。武装集団や政府軍は違法に一般市民を殺害し、多くの人びとを家から追い出し、人道支援へのアクセスを遮断した。2024年に世界で実施された70以上の国政選挙の多くでは、権威主義的なリーダーたちが差別的なレトリックと政策で地歩を固めた。

「強制された自白や再審制度の不備などによって死刑囚として半世紀にもわたり拘禁された袴田巌さんが、ようやく無罪となった。このことは、日本の刑事司法制度の改革が待ったなしであることを如実に示している」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗は述べた。「日本政府は『人質司法』、そして死刑を廃止すべきである」。

2024年の日本でのその他の主な動きは次の通りである。

  • 出入国在留管理庁は依然として難民の認定をしない傾向が強い。2023年には、13,823人が難民認定を申請したが、認定されたのは303人だった。6月には改正出入国管理及び難民認定法(改正入管法)が施行された。この改正法により、日本政府は3回目以降の難民認定申請を行った庇護希望者を強制送還できることになった。
  • ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書を受け2月、日本政府は、女性受刑者の出産時に分娩室内での拘束具使用を事実上禁止する2014年の通知に反し、刑務官が出産中の受刑者に手錠をかけていた事例があったことを認めた。法務省は3月、国際基準に沿ってこの通知の対象を拡大した。
  • 6月、国会で改正入管法などが成立した。外国人技能実習制度に代わり、外国人労働者を対象とした新たな人材の育成と確保の制度である「育成就労制度」を創設する内容である。これにより、原則禁止だった移住労働者による就労先の変更(転籍)が一定期間の経過、技能および日本語能力などがあれば認められることになるが、その条件が依然として不明確だとの批判もある。
  • 最高裁判所は7月、旧優生保護法について違憲との判断を示し、国に対し、同法により不妊手術を強制された人たちに賠償を命じた。遺伝性疾患を理由とした手術が最も多く、1948年から1996年の間に、手術を受けた人はおよそ2万5000人に上るとされている。

日本の市民社会は何十年にもわたって、独立した国内人権機関の設置を強く求めており、国連の人権メカニズムも同様の見解を示してきた。日本政府は、国内人権機関を設立し、現状の脆弱な人権保護の制度を強化すべきである。

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