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今年、日本の政治で画期的な一歩がありました。2025年度予算で、高校授業料の所得制限なしの無償化が実現したのです。2019年の幼児教育無償化とあわせて、3歳から高校卒業までの公教育を無償とする、重要な政策転換です。

子どもを育てる責任は社会全体にもあるという理念のもと、教育無償化は、地域・経済・国家に長期的な利益をもたらす投資でもあります。

いま、日本には次の役割が求められています。それは、この教育無償化を世界にも広げるため、国際社会でリーダーシップをとることです。

世界中で小学校から高校まで無償化する国が増えており、世界の流れとなっていました。そして昨年からはさらに一歩進み、就学前(最低1年)から高校卒業までの教育の無償化を保障する新たな人権条約、国連・子どもの権利条約の第四選択議定書の起草に向けた取り組みが始まっています。

昨年7月、国連人権理事会で作業部会の設置が決議され、今年9月にはその初会合が予定されています。もしこの新たな条約が成立すれば、子どもの教育をめぐる国際人権基準が大きく前進することになります。

現在、約1億7500万人の子どもが就学前教育を、約1億7900万人が中等教育(中学・高校相当)を受けられていません。大きな理由の一つが、学費負担です。教育無償化を実現した国では就学率が高く、特に社会的に疎外された家庭の子どもたちの就学率が大きく向上しています。

ユニセフやユネスコも法的拘束力のある文書の必要性を勧告しているほか、すでに50カ国以上が公式に支持を表明し、シエラレオネ、ドミニカ共和国、ルクセンブルクなど、地域を超えた枠組みでリーダーシップが取られています。中でもシエラレオネは、低所得国でありながら13年間の教育の無償化を達成し、国家予算の規模ではなく政治の優先順位こそが重要であると世界に強いメッセージを発しています。

世界の3割の子どもたちが就学前から高校までの無償教育を享受しています。日本もその国の一つです。だからこそ今、日本はこの国際的なルールづくりに積極的に貢献し、自国の知見と価値観を共有することで、あと7割の国の子どもたちの権利保障を後押してほしいのです。

お金を出すだけではない、ルール形成への貢献という国際貢献があります。日本政府には、子どもの権利を世界で前進させる牽引(けん・いん)役を果たしてほしいと強く願います。

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