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中国・新疆ウイグル自治区達坂城区にあるウルムチ第三収容所の出入り口に立つ警察官、2021年4月。 © 2021 Mark Schiefelbein/AP Photo

ウイグル人のセヒベ・サヤモグルさんの24歳の弟、クドゥスジャン・アブドゥワリさんは2023年7月、友人たちとの中国・新疆ウイグル自治区のレストランでの食事を理由に地元警察に逮捕された。

中国の裁判所は、食事の場を「違法な集まり」であったとし、アブドゥワリさんに5年以上におよぶ禁固刑を言い渡した。

しかし、実際にそのレストランで起きたのは、拘禁された共通のウイグル人の友人について、「政治の風に巻き込まれただけの善良な人だ」とコメントした人がいたというだけのことだった。

「この先の6年間は私にとって地獄です」とサヤモグルさんはヒューマン・ライツ・ウォッチに話した。「弟は苦しみに焼かれ、私も獄の外で焼かれるような苦しみを味わうでしょう。今、弟がどこで拘禁されているのか分かりません。逮捕されて以来、両親も弟と会えていません」。

サヤモグルさんをはじめとする不当に拘禁されたウイグル人の家族は、国連に対して、中国政府に残虐行為をやめるよう圧力をかけることを求めている

サヤモグルさんのような声に耳を傾けられるか、日本政府の姿勢が今試されている。

2年前の2022年8月31日、国連人権高等弁務官事務所は、画期的な報告書を公表した。中国政府がウイグル族をはじめテュルク系ムスリムに深刻な人権侵害を行っており、それが「国際犯罪、特に人道に対する罪に該当する可能性がある」と指摘する内容だ。

この人権侵害には、広範囲にわたる恣意的拘禁、強制失踪、強制労働、文化的・宗教的迫害が含まれる。報告書の発表から2年となるのを前に、国連人権高等弁務官事務所は8月27日に声明を発表し、引き続き事態への懸念を表明した。

報告書を受けて2022年10月、国連の最高人権機関である国連人権理事会ではこの問題を討議するよう求める動議が提出されたが、僅差で否決された(日本は賛成)

以来、残念ながらこうした動きはなく、この報告書に関して国連で討議は行われていない。国際社会が沈黙を続ける中、中国政府は依然として新疆ウイグル自治区に対する弾圧の中で何十万人ものウイグル人を恣意的に拘禁し、ウイグル人のアイデンティティの表現を抹殺している。

今年の普遍的定期的審査(UPR)―国連人権理事会で行われる加盟国間の定期的な人権審査プロセス―において、中国政府は国連人権高等弁務官事務所の報告書を「違法かつ無効」であるとして、その勧告を実施するよう求めるすべての勧告を拒否した。中国政府が人道に対する罪の容疑への対処を徹底的に拒否することは驚くことではない。しかし、このような中国の態度はすべての国連加盟国にとって重大な懸念であるべきだ。

中国政府に対するUPR審査が終わり、国連人権高等弁務官事務所の画期的な報告書の発表と国連人権理事会の動議の提出から2年となる今こそ、国際社会の強い団結のもと、中国政府による人権侵害に対するフォローアップが必要だ

9月9日から始まる国連人権理事会で、日本は他国と協力し、中国政府に人権侵害のアカウンタビリティ(責任)を取るよう求めるべきだ。これは、これまで50以上の国連専門家世界中の何百もの人権団体が提言してきている。各国は、国連人権理事会での中国の深刻な人権侵害に特化した議論や追加の調査・報告を行うべく、再び動く必要がある。

日本政府は少なくとも、引き続き新疆ウイグル自治区における重大な人権侵害を注視しモニタリングすることの必要性、さらに国連人権高等弁務官事務所に対して2022年の報告書のより包括的なアップデートおよび責任追及を果たすためのアクションプランを提示することを訴えるため、9月の国連人権理事会で地域横断的な共同声明が発表されるようリーダーシップを発揮すべきだ。

アジアにおける強固な民主主義国家であり、中国の近隣国である日本がリーダーシップを発揮することは、国際協調や地域横断的な連携を強化するための画期的な一歩となる。日本が動けば、中国の影響を大きく受ける近隣国も、その人権侵害に対して懸念を抱いていることが示せるだろう。

このような動きを支持する声は日本の国会でもあがっている。人権外交を超党派で考える議員連盟(会長・中谷元議員、舟山康江議員)も、日本政府に対し、中国に関する共同声明を主導すべきと要請している。

人道に対する罪の証拠が山積しているにもかかわらず、国際社会が国連で断固とした声を上げなければ、ウイグル人やその他の少数民族に対する犯罪を平然と続けることができるという危険なメッセージを中国政府に送ることになるだろう。今こそ、国連における日本のリーダーシップが求められている。

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