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中国:国連は人道に対する罪に対し 行動するべき

人権諸団体が新疆ウイグル自治区報告書のフォローアップを国連人権高等弁務官に求める

スイス、ジュネーブの国連でスピーチをするヴォルカー・ターク国連人権高等弁務官。2023年11月16日。 © 2023 Salvatore Di Nolfi/Keystone via AP Photo

(ジュネーブ)ヴォルカー・ターク国連人権高等弁務官は、新疆ウイグル自治区の人権状況に関し、中国政府と国連人権高等弁務官事務所によるそれぞれの取り組みについての最新情報を公開するべきである、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチ、アムネスティ・インターナショナル、国際人権サービス、世界ウイグル会議は述べた。これら4団体は、国連人権高等弁務官事務所が2022年に出した新疆ウイグル自治区についての報告書の翻訳版を数カ国語で発表した。

国連人権高等弁務官事務所が2022年に出した報告書は、新疆ウイグル自治区での人権侵害が「国際犯罪、特に人道に対する罪に相当する可能性がある」との結論を出した。国連人権高等弁務官が、自らの事務所が記録した残虐行為に関するその後の取り組みについて情報を公開しないことは、被害者やサバイバーが国連人権高等弁務官事務所に寄せる信頼を損なう恐れがある。同時に、国連加盟国も不処罰と闘うためにより断固とした行動をとる必要がある。

「国連人権高等弁務官事務所による報告書の発表は、新疆ウイグル自治区での人権侵害の深刻さを浮き彫りにする画期的な出来事だった」とヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長、エレイン・ピアソンは述べた。「新疆のウイグル、その他のテュルク系ムスリム住民が置かれた状況を改善するためにこの報告書を存分に活用できるかどうかは、今や国連人権高等弁務官にかかっている」。

国連人権高等弁務官の報道官は2023年8月、新疆の状況は「依然として懸案事項である」と述べ、22年8月に出された報告書は「責任追及が必要であることを明確にした。われわれは公的にも中国へのバイラテラルの関係でもその立場を変えていない」と強調した。24年3月、国連人権高等弁務官は中国政府に対し、22年の報告書の勧告も含め、国連人権高等弁務官事務所やその他の国連機関による勧告を実施するよう求めた

国連人権高等弁務官は6月18日に人権理事会の開会の挨拶で、「新疆ウイグル自治区地域での…深刻な懸念事項」を含む「様々な人権問題」について中国政府と「関与を続けてきた」と述べた。弁務官は、香港での国家安全維持法等や個々の案件についての懸念を表明し、恣意的に拘束された中国の人権擁護活動家である黄雪琴と王建兵(どちらも名前は出されなかった)に対する有罪宣告を非難した。しかし、高等弁務官は中国政府との関与についての詳細も、新疆ウイグル自治区の状況についての実質的な最新情報も、同報告書が出した勧告の実施状況に関する国連人権高等弁務官事務所のアセスメントも示さなかった。新疆ウイグル自治区報告書の発表から2年近くが経った今、国連人権高等弁務官と同事務所が、人道に対する罪その他の人権侵害や虐待行為を防ぎ、それらについて責任を追及する取り組みについて詳細を示すことが緊急に求められる。

2022年8月に報告書が発表されてからも、中国政府は依然として何十万人ものウイグル人を恣意的に投獄し、新疆ウイグル自治区での弾圧の一環でウイグル人のアイデンティティの表現を抹殺してきた。中国政府は5月31日、普遍的定期的審査によるウイグル地域についての30項目近くの勧告を退け、人種差別撤廃委員会を含む多数の国連の人権専門家や委員会から出された数十もの勧告も実施していない。

「国連人権高等弁務官事務所が新疆ウイグル自治区報告書を受けて適切な措置を講じることがきわめて重要だ」と世界ウイグル会議の国際政策提言ディレクターであるズムレタイ・アーキンは述べた。「これは残虐行為に対して国連が意味のある取り組みを行うことができることを高等弁務官が示す重要な機会である。国際社会はこのような不処罰を見過ごすわけにはいかない」。

人権諸団体は国連人権高等弁務官と同事務所に対し、国際社会に対して新疆ウイグル自治区報告書についての説明を公に行い、報告書の勧告を受けて具体的な行動をとり、中国国内で起きている国際犯罪やその他の深刻な人権侵害についての責任を追及するよう一貫して求めてきた。人権諸団体はまた、国連人権理事会で各国に対し、(もっと前から開始されるべきであったとはいえ)包括的で独立した国際調査を始めるよう求めた。2020年6月2022年6月、そして2022年9月の3回にわたって国連の専門家からも同様の呼びかけがあった。

2022年10月、国連人権理事会で中国を正式に議題に加える努力がもう少しで実る状況まではいったものの、その後はほとんど行動が起こされていない。

「国連が新疆ウイグル自治区の報告書を出したことは、法による正義を求める数百万人のウイグル人にとって、またいかなる権力者であろうと責任を問われるべきだと堅く信じている世界中の人びとにとって、疑いようもなく画期的な出来事である」と、国際人権サービスの中国プログラムのマネージャー、ラファエル・ヴィアナ・ダヴィッドは述べた。「中国政府は新疆ウイグル自治区報告書の信用性をおとしめようとしてきたが、報告書とそこに含まれる勧告は、ウイグル地域での人権状況を有意義に変えるための道筋を示している」。

国連の新疆報告書発表の2周年を記念し、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、アムネスティ・インターナショナル、国際人権サービス、世界ウイグル会議は6月20日に共同で、2022年の画期的な報告書の非公式翻訳版を発表した。翻訳版は下記のとおり国連公用語であるアラビア語、中国語、フランス語、ロシア語、スペイン語の五つの言語のものがあり、包摂性を育み、中国による人権侵害についての議論を深め、地域間の取り組みを推進することをめざしている。

図などを使った報告書の概要も、中国語英語スペイン語フランス語のものがある。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ、アムネスティ・インターナショナル、国際人権サービス、世界ウイグル会議は2018年以来、人権理事会その他の国連機関が中国での残虐犯罪を記録するとともに増え続ける残虐犯罪の証拠にしっかり対応するように求め、そして、その調査結果を国際的に広めるよう、共同してキャンペーンを行なってきた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ、アムネスティ・インターナショナル、国際人権サービス、世界ウイグル会議は6月20日に国連で、中国の普遍的定期的審査の採択を受けて、中国各地での人権侵害を解決しその責任を問うために必要な措置についてのサイドイベントを共催する。このイベントは、国連の新疆ウイグル自治区報告書の非公式翻訳版を各国、市民社会、メディア、その他の国連関係者に紹介し、対応についての提言を協議する機会にもなる。

「人権理事会の各国には原理原則を第一とするよう求める」とアムネスティ・インターナショナルの中国ディレクターであるサラ・ブルックスは述べた。「新疆ウイグル自治区報告書発表の2周年記念は、新疆ウイグル自治区での人道に対する罪を含む深刻な人権侵害を監視、報告、調査するための独立した国際機構を設置する気運を高める機会になるべきである。どの国も、その影響力の大きさに関わらず、人権侵害についての責任から逃れられるべきではない」。

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