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カンボジア:反体制派に対する根拠のない有罪判決を無効にせよ

フン・セン首相は7月の国政選挙を前に弾圧の道具として裁判所を悪用

Supporters of Kem Sokha, former opposition leader and ex-president of the now-dissolved Cambodia National Rescue Party (CNRP), hold up a poster near the Appeal Court in Phnom Penh, Cambodia on March 27, 2018.  © 2018 Reuters / Samrang Pring
(ニューヨーク)- カンボジア当局は昨年解散させられた主要野党の党員11人をはじめ、支持者、活動家に対する政治的動機に基づいた「暴動」という名の有罪判決を無効にすべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。カンボジア控訴裁判所は、7〜20年の有罪判決を受けたカンボジア救国党(以下CNRP)党員の控訴をめぐる決定を、2018年5月10日に発表する予定。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局局長ブラッド・アダムズは、「CNRP党員11人の訴追は、不正があったとされる2013年の国政選挙で、同党がほぼ勝利した後にでっちあげられた数多くの事案でも最初のひとつだった」と指摘する。「フン・セン首相と与党カンボジア人民党は、投票による敗北を阻止するため、野党勢力をあらかじめ封じ込めることにしたようだ。」

Prime Minister Hun Sen and the ruling Cambodian People’s Party apparently decided to lock up political opponents to stave off defeat at the ballot box.
Brad Adams

Asia Director

CNRP党員の11人は2014年7月15日の抗議集会に関与した疑いで、首都プノンペンの第1刑務所に収監されている。集会ではプノンペンにあるデモクラシープラザ(自由広場)の再開が叫ばれたが、これは、政府による2013年7月の国政選挙をめぐる不正操作や平和的な集会の規制に抗議するため、CNRPが実施した一連の抗議活動のひとつだった。

準警察部隊が参加者を強制的に移動させようとして集会は混乱状態に陥り、一部暴徒化した参加者もいた。11人の一部をはじめとするCNRP活動家たちは、治安部隊員を攻撃から守ろうとした3人を含め、暴力を阻止しようとした。この時、41人の治安部隊員と6人の集会参加者が負傷したと報告されている。

11人はのちに、野党勢力や社会活動家に対する政府取締りの一環として逮捕された。ほか5人の国会議員と19人の活動家および人権活動家も逮捕されたが、与党人民党(以下CPP)とCNRP間の政治的な取り決めの一環として即時釈放されている。しかし政府は、釈放された人びとの暴動および扇動をめぐる告訴を取り下げず、いつでも逮捕できる状態にした。

2015年7月21日、プノンペン特別市裁判所は、Meach Sovannara氏、Oeur Narith氏、Khim Chamreun氏に対し、暴動への参加および主導(カンボジア刑法第456条、第457条、第459条)で有罪判決を下し、20年の刑期を言い渡した。Ouk Pich Samnang氏、Sum Puthy氏、Neang Sokhun氏、San Seihak氏、San Kimheng氏、Tep Narin氏、An Butham氏、Ke Khim氏は、暴動運動に参加(刑法第456条、457条)したとして7年の有罪判決を受けている。

暴動は、カンボジア刑法第456条で「カンボジア王国に危険をもたらしうる、または国の領土保全に危害を生じさせうる、集合的暴力行為をいう」と広く定義されている。第457条は、適用される罪としての暴動運動への参加行為を7つ定めている:公的実力期間の活動を妨害することを目的として、道路の妨害物、防御物を築く、または仕事を行うこと;武力または諜議による建物または設備の占拠;建物および設備の破壊;暴徒への運輸の保証または物資補給;暴徒を収拾させる直接の扇動;あらゆる武器、爆発物および弾薬の保持;事故を合法的な国の当局の代わりとすること

公判中に検察は、11人の被告のうち誰がどんな暴力行為を抗議活動中に犯したかを特定することはなかった。弁護人が1人しか出廷していないなかで、不意に弁論の終了を裁判官が要請したとき、被告側は残りの弁護人が出廷するまで裁判の遅延を求めた。しかし、裁判官はこの要求を退け、判決と刑期を宣告するまでにわずか15分間しかかからなかった。

控訴裁判所は2018年4月21日〜23日に当該事案を審問。治安部隊員は控訴審の間に、被告に対する被害届は自ら出しておらず、病院で回復中に指で書類にハンを押しただけであることを認めた。検察が再生した抗議集会の短い動画は人びとが観るにはあまりに小さかったが、これらには治安部隊員に襲いかかる一部の参加者だけでなく、隊員を怒れる群衆から守ろうとする被告数人も映っていた。また動画には、国会議員のMu Sochua氏が参加者に対し、非暴力的な抗議を呼びかけている場面もある。主張するような暴動に被告たちが参加している証拠を検察側が提出することはなかった。

アダムズ局長は、「政府が7月の国政選挙で野党の出馬を禁じてしまったにもかかわらず、カンボジア当局はフン・セン首相と与党に立ち向かった人びとの政治裁判をまだ継続している」と指摘する。「とりわけこの事案はねじれている。訴追された人びとが暴力行為に関与していないだけでなく、実際のところ一部はそれを阻止しようとさえしていたからだ。今回の事案をめぐる裁判所の判決次第では、カンボジアの平和的な反対意見の未来が危機に直面しているという、より広範なメッセージを国際社会に送ることになるだろう。」

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