(ニューヨーク)― ミャンマー国軍は、囚人10人に最近下した死刑の判決を直ちに減刑すべきであると、ヒューマン・ライツ・ウォッチと政治囚支援協会(AAPP)は本日述べた。国軍は死刑のモラトリアム(執行停止)を実施し、死刑廃止に向かうべきである。
今回、軍事法廷では大学生7人を含む10人に死刑判決が下された。これに先立つ2022年7月には、政治囚4人が処刑され、国際社会の大きな非難を呼んだ。これらの有罪判決はすべて、公正な裁判に関する国際基準をはるかに下回る、著しく不当な秘密法廷で下されたものである。
「ミャンマー国軍は、すべての死刑判決を減刑すべきだ。死刑は、残虐な刑罰であるとして、世界の大半で廃止されている」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのミャンマー担当調査員、マニー・マウンは述べた。「同国の膨大な人権侵害にもかかわらず、標的制裁をためらってきた国の政府は、今回の死刑判決を、ただちに行動すべしという明確なシグナルとして受け止めるべきである。」
11月30日、非公開で行われたヤンゴンの軍事法廷は、ミャンマー刑法302条違反で学生7人に死刑判決を下した。いずれもダゴン大学学生会に属している。法廷は、4月にヤンゴンで元軍人が死亡した銃撃事件に関与したとして、この学生たちを有罪とした。警察は4月、発砲事件の直後に7人全員を逮捕していた。
7人の氏名(以下、敬称略)は、カンジンウィン、トゥラマウンマウン、ゾーリンナイン、ティハテットゾー、ヘインテット、テットパインウー、カンリンマウンマウンである。
別の軍事法廷はまた、ワイジンヤン、トゥトゥーアウン、ミンテットターの3人に刑法302条違反で死刑を宣告した。2022年5月24日にヤンゴン北部で区役所職員を射殺した容疑である。
ミャンマーの秘密軍事法廷は長年にわたり、基本的な人権保護を完全に無視し、国際的なデュープロセスと公正な裁判基準を尊重していない。軍事法廷で裁かれると、どのような証拠が出てくるにしても、ほぼ確実に有罪判決が下される。家族、一般市民、外交官は裁判を傍聴することができない。有罪判決は、拷問や、頻繁に使用される殴打などの虐待行為によって得られた自白に基づいて下されるケースが多い。
9月に就任した国連人権高等弁務官のフォルカー・トュルクは、12月2日付の声明で、新たな死刑判決に警鐘を鳴らした。「反体制派を鎮圧するための政治的手段として死刑判決を用いることで、(ミャンマー)国軍は、暴力を停止させ、かれらが作り出した人権危機からミャンマーを救うための政治対話の条件を整えようとする、ASEANや国際社会全体の努力を歯牙にもかけないことを改めて示した。」
ミャンマーの軍事法廷は、2021年2月の軍事クーデター以来、欠席した41人を含む138人に死刑を宣告している。東南アジア諸国連合(ASEAN)と関係各国政府は、すべての死刑判決を直ちに減刑し、不当に投獄された全員を釈放するよう、軍部に強く働きかけるべきである。
ASEAN加盟国と関係各国政府は、国連安全保障理事会に対し、武器禁輸措置を実施し、ミャンマーの現状を国際刑事裁判所(ICC)に付託するよう求めるべきである。
7月25日の死刑執行は、ミャンマーで30年以上ぶりに実施された死刑だった。死刑になったのは、ピョーゼーヤートー(41)、チョーミンユ(通称「コー・ジミー」、53)、フラミョーアウン、アウントゥラゾーの4人だ。軍事法廷は1月21日、規定が過度に広範なテロ対策法(2014年)に基づいて、コー・ジミーとピョーゼーヤートーに死刑を宣告した。フラミョーアウンとアウントゥラゾーは、2021年4月に国軍の情報提供者1人を殺害したとして有罪判決を受けた。
ヒューマン・ライツ・ウォッチとAAPPは、いかなる状況においても死刑に反対しており、ミャンマーに対し、死刑の全面廃止を長年求めてきた。死刑は、残酷さと、実行されれば後戻りできない点で特殊な刑罰であり、恣意性、偏見、誤謬を免れることは決してない。
「ミャンマー国軍による脅しは、公正な裁判プロセスの基本原則を守ろうとも、独立性と公平性を示そうともしてこなかった軍事法廷と一体のものだ」と、政治囚支援協会の共同創設者であるコー・ボーチーは指摘する。「迅速な非難と協調的な圧力、そして一丸となって実施される、標的制裁こそが、国軍の人権侵害を終わらせるために必要なのである。」