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東京新聞・中日新聞 2020年3月13日
一月末に国際司法裁判所(ICJ)について書いた。今回は別組織、国際刑事裁判所(ICC)を取り上げたい。ICJが国家間の紛争を扱うのに対し、ICCは戦争犯罪やジェノサイド(民族大量虐殺)など、最も重大な罪を犯した個人を処罰することを使命とする。

そのICCが先週、重要な決定を行った。アフガニスタンでの戦争犯罪についての正式捜査開始を認めたのだ。ICC検察官がタリバン、アフガン国軍、米軍、米中央情報局(CIA)に対する捜査を求めていた。

米政府が猛反発し、ポンペオ国務長官は数週間以内に対応を発表すると政治的圧力をかけている。しかし屈してはならない。ICCは重大な犯罪の被害者にとって最後のとりでだからだ。アフガニスタンの人びとは四十年以上も戦火に苦しみ抜き、初めて法による裁きの希望を見いだした。

今回の決定は、いかなる権力を持とうとも、いつか法の裁きを受ける可能性があるとの強烈なメッセージを、重大な人権侵害を行っている権力者に送っている。将来、そうした行為を行うかもしれない人物に対しても。ICCの重要な加盟国である日本は、政治的圧力がかかる正念場でこそ、ICCの独立を支持するメッセージを公にすべきだ。人類の未来がかかっているのだから。

(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)

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