フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は道を外れた雇用創出計画のアイデアを思いついたようです。失業者を雇って犯罪の被疑者を殺害させるというのですから…。

火曜日に大統領は、海外から戻ったフィリピン人労働者に対し、次のように述べて歓迎しました。「たとえ仕事を失っても大丈夫、私にまかせなさい。違法薬物中毒者を残らず殺す仕事をあげますよ。」

Philippine President Rodrigo Duterte speaks during a meeting with the Filipino community in Riyadh, Saudi Arabia, April 12, 2017.

© 2017 Reuters

大統領による近ごろのこうした自警団殺人の奨励も、実は驚きではありません。というのは、これまでも自身が率いる違法薬物取締キャンペーンの一環として、中毒者を殺すよう繰り返し一般に呼びかけてきたのですから。昨年6月30日にはフィリピンの国民に対し、「中毒者を誰か知っているのなら、親にそれをさせるのは忍びないだろうから、代わりに殺してやればいい」と指示。こうした呼びかけは殺人教唆の罪に該当する可能性があります。

また、比国家警察に対しては、違法薬物の使用や密売の疑いがある個人を超法規的暴力の対象とするよう、再三にわたって求めています。これでは法執行機関に殺人を焚きつけていると考えられてもおかしくありません。昨年8月6日には違法薬物の密売をしているとされる人びとに、「私の命令はお前たちを射殺せよというものだ。人権なんか関係ない。私の言葉を信じた方が身のためだ」と警告しています。

ドゥテルテ大統領による「麻薬戦争」のぞっとするような犠牲者数が物語るのは、彼の超法規的な暴力の求めに耳を貸す市民がいるということです。2016年6月30日の大統領就任以来、違法薬物使用またはその密売を疑われ、警察や正体不明の武装した者たちに殺された人の数は7,000人以上。警察は、警察に殺されたのは2,690人だとしていますが、これには例えば、警察官の流れ弾の犠牲になった子どもたちを含む、大統領が言うところの「巻き添え」となった犠牲者は含まれていません。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは調査により、こうした警察ストーリーの嘘を明らかにしました。警察が「自警団」や違法薬物関連の犯罪者による殺害とする3,271件の殺人事件の多くは、実は「死の部隊」型の超法規的殺害の責任を逃れるため、警察自らが仕組んだ隠蔽行為にほかならなかったのです。

人権侵害を伴う「麻薬戦争」の責任者である大統領および政府高官は、重大犯罪の責任を問われうると警告されています。実際、彼の殺害キャンペーンにははっきりと標的にした層があるのです。それは、都市部のスラム街に住む人たちです。これは一連の殺害が、フィリピンも加盟する国際刑事裁判所が定めるところの「人道に対する罪」に該当するかもしれない、ということです。フィリピンの人びとには、ドゥテルテ大統領の「麻薬戦争」にはっきりノーを突きつけて欲しい。そして、失われた幾千もの命のために、責任追及を求める国際社会大合唱に加わるべきです。