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タイ:日本は軍事政権解散を強く促すべき

安倍首相はプラユット司令官に人権問題で明確なメッセージを

(東京)日本の安倍晋三首相はタイの軍事政権最高指導者に対し、人権状況改善と民主主義に基づく文民政権の復活を強く求めるべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。

元陸軍総司令官のプラユット・ジャンオーチャー  タイ王国首相は2月8日から10日まで訪日する。タイ首相官邸によれば、2014年5月の軍事クーデターを行った国家平和秩序維持評議会(NCPO)の議長も務める同首相は安倍首相と会談し、日本のタイへの投資の増額を求める予定だ。

「安倍首相はタイ軍政の現状に日本が深く憂慮していることを強く示すべきだ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムスは述べた。「タイに民主的な選挙に基づく文民政権が復活し、人権尊重が回復されるまで、今まで通りの関係はありえないことをプラユット首相に伝えなければならない。」

プラユット首相との首脳会談の際、安倍首相は2013年1月28日の所信表明演説で示した「自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった、基本的価値に立脚」という展望に具体的な形を与えるべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。安倍首相は昨年10月のプラユット首相との会談ではこの外交ビジョンを実行に移さなかった。安倍首相は、人権に関する「水面下」外交の伝統から脱却して、パブリックディプロマシーや建設的批判も行う戦略的な方針をとるべきだ。タイと外交・政治・経済・社会文化面で緊密な関係を持つ日本には、首脳会談で人権問題を率直に取り上げるだけの強い影響力がある。

タイには緊急性を要する様々な人権問題が存在する。日本政府はタイ政府に迅速な対応を強く促すべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。軍事クーデターから8ヶ月が経つ。しかし軍政側には民政復活を目指す本気の動きがまったくない。軍政指導者兼首相のプラユット氏は、司法などの監督を一切受けることなく広範な権力を行使している。暫定憲法と厳格な1914年の戒厳令により、軍政側の人権侵害は責任を問われない。暫定憲法に基づく主な機関としてNCPOが設置した国民立法議会、国民改革評議会、憲法起草委員会には、すべて軍人と軍政派の人びとが送り込まれている。

NCPOは、民政復活に不可欠な基本的人権と基本的自由を激しく抑圧している。NCPOは検閲を強化し、報道機関に軍政批判を禁じている。200以上のウェブサイトが安全保障上の脅威という理由でブロックされている。ヒューマン・ライツ・ウォッチのタイに関するページもその1つだ。NCPOは5人以上の集会を認めず、クーデターに反対する行動を禁じている。反軍政を掲げる人びとは軍事裁判所にて有罪判決を受け、刑務所に送られている。異議申立ての機会はない。政治的議論の存在と政治的見解の多様性を、国家の安定と安全保障上の脅威と見なすNCPOは、大学にも統制の手を伸ばし、人権や民主主義、プラユット政権の評価についての議論を禁止した。

「タイでは軍政による息苦しい支配が行われている。戒厳令が全国に敷かれ、表現・結社・集会の自由が容赦なく弾圧の対象となっている」と、前出のアダムス局長は述べた。「タイの速やかな民政復帰を実現するうえで、日本など主要なビジネス・パートナーからの強い働きかけは決定的な力を持つ。」

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