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ビルマ:ロヒンギャ民族の新たな殺害事件 調査を

援助とメディアの立ち入りを確保し、暴力をふるう治安部隊の訴追を

(バンコク)ビルマ政府は、同国西部での宗派間暴力による殺害事件の報告について、ただちに公平な調査を行うべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。

アラカン州マウンドー郡ドゥチーヤータン村での暴力事件は、主にアラカン民族仏教徒からロヒンギャ民族ムスリムに対し行われた。国連人権高等弁務官事務所の情報によれば、少なくとも48人が死亡している。事件は2014年1月9日に発生した。アラカン民族の住民が、この地域に密入国したとされるロヒンギャ民族の住民8人を殺害したことがきっかけだ。現地はバングラデシュ国境に近い。国連の1月13日付の報告によれば、ロヒンギャ民族の住民は警官1人を拘束し、殺害した。その後、地元警察とアラカン民族住民により、ロヒンギャ民族の成人男女と子ども少なくとも40人が殺害された。人道援助団体消息筋は、銃やナイフ、斧による傷を負ったこの地域のロヒンギャ民族住民を多数治療したと話している。

「ビルマ当局は、死者を出した今回の暴力事件についてただちに公正な調査を行い、実行者を訴追し、困窮する人びとに援助が届くようにすべきだ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理フィル・ロバートソンは述べた。「政府がロヒンギャ民族を差別し、過去の人権侵害を不処罰としていることが、新たな陰惨な事件の温床となっている。」

ドゥチーヤータン村の住民は襲撃後に村から逃れた。当局はメディアの立入を認めておらず、報道を行うのは困難だ。一帯の情勢はまだ緊張していると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが入手した報告によれば、警察当局は、一帯にいるロヒンギャ民族の成人男性と10歳以上の少年について、全員の身柄を拘束せよとの包括的な命令を口頭で下している。こうした命令が出た場合にはただちに撤回されるべきである。当局は地域住民全体の安全確保策を講じるべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

今回の殺害事件の情報に対する政府の当初の反応からは、この事件を重大視していないことがうかがえると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘。先週、大統領府のイェトゥ報道官は暴力事件についての第一報を退けた。1月22日にこの地域をアカラン州政府当局と警察幹部が訪問。暴力事件は、伝えられているような規模のものではないと述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは2012年6月と10月に発生した、アラカン州での暴力事件について調査を実施。治安部隊とアラカン民族グループのメンバーが「民族浄化」作戦により、人道に対する罪を犯していることを明らかにした。現在も18万人以上のロヒンギャ民族が国内避難民となっており、多数が国外にいる。政府が設置した委員会は調査を行い、結果を2013年4月に公表した。調査結果は暴力事件の説明責任に触れておらず、委員会によるその他の勧告も大半が未実施だ。

テインセイン大統領と中央政府の治安当局者は、更なる暴力事件を防止する措置をただちに講じるべきだ。たとえば、中央政府の指揮命令下にある治安部隊を展開すべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

中央政府は現地当局に対し、ロヒンギャ民族住民の権利を制限する措置を、全面解除するよう命じるべきだ。現状では、移動の自由、雇用、信教、結婚の権利のほか、医療へのアクセスも制限されている。人道支援が緊急に必要な地域について、国連など人道支援団体のアクセスが制限されているが、政府はただちに解除に動くべきだ。これは国連高官筋の要請でもある。

「暴力事件の発生を認めない政府の態度が、人権侵害を行う現地当局に対し、ロヒンギャ民族への攻撃は看過されるとのメッセージを送っている」と、ロバートソン局長代理は述べた。「中央政府は事態を掌握し、暴力事件の予防を第一の目的として、公正なかたちで治安を確保し、人権を保護すべきだ。」

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