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グルジア:衛星写真が破壊とグルジア系住民への攻撃を映し出す

ロシアは犯罪の捜査と訴追を

(ニューヨーク)-国連衛星プロジェクト(UNOSAT)が公開した最近の衛星写真により、南オセチア内のグルジア系住民の村が広範囲に焼き討ちされたことが確認された、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。5つのグルジア系住民の村で撮影された損壊状況の詳細な分析の結果、これら南オセチアの首都ツヒンバリ周辺の村々の破壊は、意図的な焼き討ちによるものであって、武力衝突によって破壊されたのではないことを示している。

「ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査員たち自身が、当該地域での調査中、オセチア民兵がグルジア系住民の村の略奪や焼き討ちを行っているのを目撃している」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの欧州・中央アジア局長代理、レイチェル・デンバーは述べた。「衛星写真は、この2週間で、これらの村の焼き討ちが非常に大規模に行われたことを示している。」

8月19日に商業衛星によって撮影された 新しい衛星写真は、ジュネーブに本拠地を置くUNOSATの専門家たちによって分析された。同プログラムは、国連訓練調査研修所の一部であり、国連機関や国際人道組織の支援向けに衛星写真によるマッピングを作製している。UNOSATの専門家たちは、映像内で視認できる建築物が、破壊されたか激しく損壊された模様と確認した。専門家の分析は、当該地域で活動するヒューマン・ライツ・ウォッチの調査員らが入手した証拠と一致し、明らかな破壊のパターンを指摘している。

UNOSATのウェブサイト(http://unosat.web.cern.ch/unosat/)で公開されている映像では、衛星が検知した、ツヒンバリ周辺のグルジア系住民の村々で燃えている場所が、地図上にマークされている。この地図は、8月10日,12日,13日,17日,19日,22日と、当該地域での武力衝突が終わった8月10日からずっと後までグルジア系住民の村で火災が起きている様子を示している。各日とも雲が無く、人工衛星による撮影が可能であった。


UNOSATは、ツヒンバリの北9kmに位置するグルジア系住民の飛び地の村々を撮影した6枚組みの高解像度の衛星写真も公開したが、そこには村の大部分が破壊されている様子が写し出されている。

本画像は、これらタマラシェニ、ケハビ、クベモ・アチャベチ(ロシア語ではニズニー・アチャベチ)、ゼモ・アチャベチ(ロシア語ではベルハニー・アチャベチ)、クルタの5つの村での破壊の大部分が、意図的な焼き討ちが原因であることをはっきりと示している。村の高解像度写真には、砲撃やロケット弾の着弾若しくは空爆によってできる衝突クレーターが映っていない。破壊された民家の大部分で、外壁や内壁の石壁がそのまま残りしかも木枠の屋根が崩れ落ちており、これは家が焼かれたことを示している。タマラシェニ村を通る主要幹線道路沿いの多数の家だけが、外壁が崩れているのが見て取れるが、これは戦車からの発砲による可能性がある。タマラシェニから逃がれてきたグルジア系住民たちは、ヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、ロシア軍の戦車が民家に向けて8月10日に組織的に発砲した様子を目撃したと語っている。

8月12日、ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査員らは、タマラシェニ村及びその近隣のグルジア系住民の村々で、オセチア民兵による大規模な略奪行為を目撃している。ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査員らはタマラシェニ村で、少し前に焼かれ、まだ燻っている状態の家を目撃して撮影した。タマラシェニ、ケハビ、クベモ・アチャベチ村住民たちは、ヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、オセチア民兵はグルジア系住民の家に対する組織的な略奪や焼き討ちを目撃したと語った。ケハビ村では、ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査員らの到着直前に、オセチア民兵によって多くの民家に火がつけられていた。調査員らはこの燃えている複数の民家を撮影した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査員らはオセチア民兵数人と話をしたが、彼らは部下たちが家を焼いているということを臆面もなく認め、その目的は、グルジア系住民の戻る家をなくしてしまうためと説明した。

「これらは全て、戦争犯罪及び重大な人権侵害の明白な証拠だ」とデンバーは述べた。「これらの犯罪の責任者たちを訴追する必要性をロシア政府が認めるのに十分な証拠のはずだ。」

写真が示すグルジア系住民の村々の損壊は、大規模かつ集中的である。UNOSATの専門家らの測定によると、タマラシェニ村では、町のほぼ全ての建物に相当する177戸が、全壊もしくは激しい損壊を受けた。その他、クベモ・アチャベチ村では、全壊87戸、激しい損壊28戸で合計115戸、ゼモ・アチャベチ村では、全壊56戸、激しい損壊21戸で合計77戸、クルタ村では、全壊123戸、激しい損壊21戸で合計144戸、ケハビ村では全壊109戸、激しい損壊44戸で合計153戸、ケメルチ村では全壊58戸、激しい損壊20戸で合計78戸、ドゥザルツセミ村では、全壊29戸、激しい損壊10戸で合計39戸という被害状況である。

グルジア系住民たちの証言からの抜粋:

「[オセット人たちは]車を家の外に止め、まず欲しい物すべてを略奪し、次に干草を家の中に運び込んで火をつけた。家は私の目の前で焼かれたんだ。」(ゼモ・アチャベチ村住民ズズナ・チュルヒズ、76歳)

「オセチア民兵に殴られた上に、家はたった一日で三度も略奪された。全部盗って、もう盗る物が無くなると、奴らはガソリンを持ってきて、家の外や部屋中に撒いて火をつけた。奴らは家が全部焼け落ちるまで私に見させたんだ。」 (クベモ・アチャベチ村住民イラ・チュルハドゥゼ、84歳)

「奴ら[オセット人たち]は私の家に何度も来て、欲しい物を全て持って行った。盗るものが無くなると、ガソリンを撒いて火をつけた。私は、奴らが私の家と隣の家を焼く様子をじっと見ていた。」 (クベモ・アチャベチ村住民レゾ・バブッシドゥゼ、80歳)

「オセット人は最初に私の家から持ち出せる物全てを盗った。次に干草を家の中に運び込み、火をつけた。私らは紙切れさえ持ち出すことができなかった。私は、家が完全に焼け落ちていくのを見たんだ。」タマル・フッシナシビリ(タマラシェニ村住民、69歳)

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