ヒマラヤに位置する王国ブータンは、「国民総幸福量(Gross National Happiness)」を推進する理想国家として世界から注目されています。しかし、国連の恣意的拘禁作業部会は、ブータン政府が政治的意見を表明したことを理由に人々を仮釈放なしの終身刑で投獄していると認定しました。
ヒューマン・ライツ・ウォッチと Global Campaign for the Release of Political Prisoners in Bhutan は、2023年時点でブータンには少なくとも37人の政治囚が存在していると確認しました。そのうち5人は長期刑を終えて現在は釈放されています。今月公表された意見書で、国連の作業部会は残る事例のうち3件を調査し、基本的人権侵害の数々を指摘しました。他のケースも、それらの事案と類似またはほぼ同一のものです。
3人の男性―ビルカ・バハドゥル・チェトリ氏(Birkha Bahadur Chhetri)、クマール・ガウタム氏(Kumar Gautam)、そしてスンマン・グルン氏(Sunman Gurung)―は、1990年に当時の政府が9万人のネパール語話者のブータン人をブータンから追放した際まだ子どもでした。そして、子どもだった彼らは難民になりました。2008年にブータンへ戻った後、彼らは政治的ビラを配布したとして逮捕され、ブータン国家安全法に基づき反逆罪で有罪判決を受け、仮釈放なしの終身刑を言い渡されました。
国連の作業部会は、彼らの拘禁が4つの異なる点で「恣意的(arbitrary)」であると認定しました。そのうちどれか1つだけでも、国際人権法の下では彼らの拘禁を違法とするのに十分です。
第一に、彼らの逮捕と外部との接触を断たれた拘禁(incommunicado detention)の状況は、彼らを法の保護の外に置くものであり、2件では強制失踪に当たるとされました。さらに、ビラを配布した行為について、「3人は世界人権宣言の下で保障される思想・意見の自由の権利を行使していた(“the three individuals were exercising their rights … [to freedom of thought and opinion under] the Universal Declaration of Human Rights.”)」と指摘しました。
国連作業部会はまた、彼らの公正な裁判を受ける権利が侵害されていたと認定しました。さらに、彼らが「政治的意見および言語的少数派の一員であるという立場を理由に、差別的な根拠によって自由を奪われた」と結論づけました。また、面会が一切認められていないことについて「重大な懸念(grave concern)」を表明しました。
ヒューマン・ライツ・ウォッチと Global Campaign for the Release of Political Prisoners in Bhutan は、残る囚人たちが、十分な食料・衣類・医療設備もない劣悪な環境に置かれていることを調査・記録しています。ブータン政府は、国連作業部会からの連絡に対して回答しませんでした。
ブータン政府と関係を持つ諸外国政府・機関は、残るすべての政治囚を直ちに釈放するよう、ブータン政府に求めるべきです。