The Nobel Prize–winning writer Liu Xiaobo before his arrest, photographed by his wife, Liu Xia, in 2008.

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(ブリュッセル)― G20サミットに参加する世界各国の首脳陣は中国の習近平国家主席に対し、末期がんを患っている2010年のノーベル平和賞受賞者・劉暁波氏を一刻でも早く自由にするよう強く働きかけるべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。中国政府は劉暁波・劉霞夫妻に対し、中国国内と外国のどちらで治療を受けるかを自由に決められるようにすべきだ。主要20カ国の首脳陣が集まるG20サミットは、ドイツのハンブルクで2017年7月7日~8日に開催される。

「中国政府の劉暁波氏に対する残虐で非人道的な処遇は、末期がんが伝えられた以降もまったく緩和されていない」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのEUディレクターロッテ・ライヒトは述べた。「サミットの1参加国が意図的で容赦ない残虐さをもって行動しているとき、世界で最も豊かな国々が、それを座視しないという態度をとることができるか。G20サミットはそれを示すきわめて重要な機会である。」

6月26日に劉暁波氏の健康状態に関するニュースが報道されて以降、氏に関する報道はほぼ途絶えた。劉暁波氏は「治療のために保釈」されたというのが公式見解だが、現在入院中の遼寧省瀋陽市の病院では、治安当局が厳重な警備体制を敷いている。これまで面会が許可されたのは、劉霞氏と、おそらく弟の劉暉氏だけである。

報道によれば、中国政府は各国に対し、劉暁波氏の容態が悪いため移動は不可能だと説明した。しかしこれまで、独立した医師による診察は認められていない。7月5日に瀋陽市司法局は、ドイツと米国から医者を招き劉暁波氏の治療の支援を受けるとし、これは夫妻と劉暁波氏の主治医の要請に基づくものと発表した

夫妻はすでに、国外での治療を望んでいるとの声明を親友を通じて発表している。当局はこれまでに、劉暁波氏が「入念な治療」を受けており、劉霞氏と劉暉氏が医者団にお礼を述べているビデオ映像と記事を発表している。2人が撮影のことを知らされていたのか、そして映像の公開に同意したのかは不明だ。

劉暁波氏は民主化運動を理由に2008年から投獄されている。この間、当局は劉霞氏を法的根拠のないまま自宅軟禁してきた。また劉暉氏を真偽の疑わしい詐欺容疑で拘束したが、その後保釈した。

米国、カナダ、フランスなど複数の国が、夫妻を治療のため受け入れる意向を公式に表明している。またEUやドイツなどは、劉暁波氏を自由にすることと希望する場所で治療を受ける権利を保障することを求める声明を発表した。ドイツのシュテフェン・ザイバート報道官は、中国政府は「こうした厳しい状況において、人道的な解決策こそ最優先課題としなければならない」と述べた。国連人権高等弁務官のザイド・フセイン氏は6月30日に中国政府当局者と会談し、この問題について協議している。

ほかのG20参加国は、劉暁波氏の件についてまだ公の発言をしていない。

G20の参加国は、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、メキシコ、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、トルコ、英国、米国、 EUである。

「経済大国である中国は、権力乱用と抑圧という利己的な政策のもと、末期がんのノーベル平和賞受賞者を人質に取っている」と、前出のライヒトディレクターは述べた。「今回のG20サミットが世界各国の首脳陣にとり、中国に対して人道的に行動し、劉暁波氏と劉霞氏を自由にするよう強く働きかける最後の絶好の機会かもしれない。」