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各国はイスラエル・パレスチナについて国際刑事裁判所の捜査を支持すべき

法的正義のために声を上げる重要な機会

The International Criminal Court (ICC) is seen in The Hague, Netherlands, November 7, 2019.  © 2019 AP Photo/Peter Dejong, File

イスラエルとパレスチナの武装勢力間の戦闘が激化するなかで、恐ろしい犯罪が犯されており、民間人に壊滅的な打撃を与えている。今日の違法行為は収まる様子を見せないが、これは明らかに、過去の権利侵害行為について責任を追及されなかったためである。このような状況にもかかわらず、諸外国政府の大半は、公平な裁きを行う任務をすでに負っている唯一の国際組織である国際刑事裁判所(ICC)の担うべき重要な役割について、いまだ声を上げていない。

すべての国がICCに加盟しているわけではなく、著しい権利侵害行為が行われるような危機についても、その多くはICCの管轄範囲外にある。確かにイスラエルはICC非加盟であるものの、パレスチナは加盟している。現に、ICC検察局は2021年以来、パレスチナでの重大犯罪について捜査を行っている。

パレスチナ被占領地に関する国連調査委員会は10月10日、イスラエルとガザにおける戦争犯罪の「明確な証拠」があるとし、関連する司法機関、特にICCと情報を共有する予定だと述べた

これにもかかわらず、ICCや、現在続いている敵対行為について明白に言及したICC加盟国は、ヒューマン・ライツ・ウォッチが確認する限りで、リヒテンシュタインスイス南アフリカの三カ国だけである。なお、アイルランドの外相はメディア向けのコメントでICCの役割に言及。その他の諸国にとって、ICCは触れてはならない話題であるかのようである。すべてのICC加盟国は、直ちにICCの担うべき役割への支持を表明すべきだ。

各国のこれまでの反応は、ICC非加盟国であるウクライナなど他の危機に対するものとは際立って対照である。2022年2月のロシアによる全面侵攻後、ICCの主任検察官は、ICCが果たすべききわめて重要な役割について発言した。また、ヨーロッパ諸国を中心としたかつてない数のICC加盟国が、ウクライナをめぐる捜査を開始するよう主任検察官に求めた。ICC非加盟国である米国さえも、ウクライナにおけるICCの役割について強い支持を表明している。

ICCの主任検察官は、イスラエルとパレスチナの武装勢力に対し、両者には国際法上の義務があること、またICCは両者の行為を捜査する権限を有することに注意を促す公の声明を積極的に出してはいない。これ以上の大規模な残虐行為を防ぐためには、直ちにICCが声を上げる必要がある。

被害者のアカウンタビリティへのアクセスに二重基準があってはならない。国連安保理では米国が決議案について拒否権を行使したが、10月26日には国連総会が現在進行中の敵対行為について検討するための緊急特別会合を開く。この機会に、各国政府は法的正義を支持する声を上げるだろうか?

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