イスラエル政府は、ガザ地区での水道と電気の復旧を拒否し、燃料輸送を止め、これによって、ガザの民間人の苦境を意図的に拡大している。救援物資の供給を故意に妨害することは、武装集団の行動を理由に民間人への集団的懲罰を行うことと同じく、戦争犯罪だ。
10月7日、ハマス率いる戦闘員がイスラエル南部に侵入し、イスラエル史上最悪の民間人虐殺を行った。多くの家族が射殺され、人びとが自宅で焼き殺され、200人以上が人質に取られた。これらの残虐行為は戦争犯罪である。
パレスチナの戦闘員がイスラエルの民間人に言語道断の戦争犯罪をはたらいたからといって、イスラエル当局がパレスチナの民間人に戦争犯罪をはたらくことが正当化されるものではない。
ガザのインフラは、イスラエルからの電気と飲料水の供給と、イスラエルの検問所を通過してやってくるトラックがなくては成り立たない。しかし、イスラエルは、攻撃を受けて、これらを遮断した。子どもが半数近くを占めるガザの住民220万人の生存に必要な物資の供給を阻むことで、イスラエルはハマスの攻撃を理由にガザの民間人全員に懲罰を加えている。
イスラエルには、ガザを占領している勢力として、ジュネーブ諸条約に基づき、民間人が生活必需品を入手できるようにする義務がある。また、武力紛争当事者として、人道援助の搬入を促進しなければならない。イスラエルは、これまでの敵対行為では、ガザへの電気と水の供給を維持し、トラックが検問所を通行することができるようにしていたが、今回は違う。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は10月19日、「わが国の領土からガザ地区への食料や医薬品などの人道支援は許可しない」と宣言した。
10月24日現在、イスラエル軍は、国連機関の監督下で、エジプトのラファ検問所からガザへのトラック34台分の物資搬入を許可してきたが、援助機関によれば最低でも1日100台分の物資が必要であり、およそ十分ではない。イスラエル当局はこのほか、ハマスが燃料を転用すると主張し、燃料の搬入も拒んでいる。燃料は、病院の発電機、上下水道の圧送、援助物資の輸送に不可欠だ。戦時国際法は、紛争当事者が輸送品に武器が含まれないようにする措置をとることを認めているが、救援物資の搬送を故意に妨害することは許されない。
イスラエルとパレスチナの間の暴力の根は深く、多岐にわたる。10月7日の残虐行為は、イスラエルとパレスチナの民間人に新たな暴力と悲劇を引き起こすきっかけとなった。すべての当事者は、国際人道法を尊重すべきであり、民間人への違法な攻撃を行ってはならない。ハマスをはじめとしたパレスチナ武装勢力は、直ちに民間人の人質全員を解放すべきだ。イスラエルは、電気と水の供給を回復し、使途について監視されている限り、ラファ検問所経由での燃料の搬入を許可し、人道援助搬入のためにガザへの検問所を開くべく必要な措置を講じるべきである。