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インドネシア政府がパプアの有名な政治囚フィレップ・カルマ氏を釈放しました。西パプア独立の象徴とされるモーニングスター旗を掲揚したことで罪を問われ、11年もの間投獄されていた活動家です。インドネシアで表現・結社の自由の権利を行使して逮捕された他の人たちも釈放されるかもしれないという、希望の光がさしてきました。

カルマ氏はもともと15年の刑期を言い渡されていましたが、減刑措置を受けて釈放に至りました。2011年11月に国連の恣意的拘禁に関する作業部会が同氏を政治囚であるとし、インドネシア政府に「即時かつ無条件」の釈放を求めたものの、政府はこの勧告を拒否しました。

今回の釈放は、同国内の刑務所にいまも投獄されている何十人もの政治囚をゼロにするための実質的な措置を、ジョコ・ウィドド大統領率いる新政府がついにとる可能性を示すものだと、一部では前向きに受け止められています。5月に大統領はパプア州の州都ジャヤプラを訪問中に、パプアの政治囚5人の恩赦(クレメンシー)を発表。しかし、NGO「獄中パプア人(Papuans Behind Bars)」によると、合計38人が表現・結社の自由が守られることなく投獄中、もしくは公判を待っています。また、モルッカ(マルク)諸島にも推定29人の政治囚がいることが、人権団体「タマス」の最新の発表で明らかになっています。

インドネシアの政治囚の大半は、マカル(反乱・大逆罪)で有罪判決を受けています。パプア・モーニングスター旗と南マルク共和国の「ベナン・ラジャ」(虹の意)旗は、そのほかのシンボルや旗、ロゴなどと同様に、分離独立運動の特徴を持つものとして掲揚が禁じられています。こうした政治囚の大半は10年かそれ以上の刑期を宣告されており、公判前の勾留期間に警察の拷問を受けた活動家が多く、虐待や治療の拒否を受けた人もいます。政府はパプア系活動家の逮捕を、現在も続く自由パプア運動(OPM)との武力闘争の一環であるとして正当化しています。過去10年以上の間にパプア地方で軍に対して起きた最悪の暴力事件は、2013年2月に自由パプア運動とみられる部隊の攻撃を受け、インドネシア国軍の兵士8人が死亡した事件です。このことで同地方の緊張は高まりました。

ジョコウィ大統領は、残った政治囚全員の釈放を政治的な優先課題にすべきです。その日がくるまで、政治囚一人ひとりの存在が、インドネシアは人権尊重の国であるという政府の主張は一笑に付されてしまうでしょう。

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