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ビルマ:投資企業 人権保護の強力な枠組みを

米国の報告要求が発効 しかし更なる取組が必要

(ニューヨーク) - ビルマに投資する米国企業は、米国政府が新たに定めた報告要求を、人権面での懸念に中途半端な対応を取る言い訳としてはならない、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。米国政府による、ビルマ投資に対する「責任ある投資に関する報告要求書」は2013年5月23日に発効した。

ビルマでの商業活動には、米国政府の定める要件では完全に対処できない、様々な人権上のリスクが伴なわれると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘。具体的には、法の支配と独立した司法の欠如、土地の取得と利用をめぐる問題、政府が認可した事業に対する、地元からの懸念の無視などが挙げられる。国軍による経済への広範な関与、強制労働の使用、営利事業における人権侵害を伴う治安活動なども懸念を深める要因だ。汚職は全国で蔓延している。

「ビルマに投資する企業は、自らが直面するきわめて深刻な人権リスクへの対策を明らかにすべきだ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのビジネスと人権上級調査員リサ・ミソルは述べた。「だが本当の意味でのテストは、現地で活動する企業が、大規模な投資案件につきものの人権侵害に実際にどう対処しているかだ。」

米国政府が今回定めた報告要求書によれば、50万米ドル(約5,000万円)以上の対ビルマ投資を行うすべての米企業は、自らの事業とサプライ・チェーンに関わる、人権・労働・汚職・環境面のリスク対策について、方針と手順を毎年報告しなければならない。また、ビルマ政府への支払い、および安全確保や土地取得に関する取り決めについてもすべて明らかにすることが求められている。リスク評価および国軍との通信は米国政府に開示しなければならないが、公開は求められていない。第1回報告の期限は7月1日。

米国政府が定めた対ビルマ投資に関する報告要求は価値あるものだが、更に強化する必要もあると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。日本、EUなど各国は、ビルマ投資を行う自国企業に公開報告と追加的な人権保護策の実施を課すべきである。

この2年でビルマでは重要な変化が起きているが、テインセイン政権は、生計と土地に影響を及ぼす開発事業に反対する、非暴力の抗議行動を弱体化させるため、抑圧的な法律を依然用いている。最近では、4月19日にビルマ西部アラカン州マデイ島で、天然ガス開発事業とそれに関わるインフラ建設に反対する非暴力デモが起きた際、ビルマ政府は参加者の起訴に踏み切った

2012年11月にビルマ政府は、北部での銅山開発に抗議する人々を厳しく取り締まった。大規模なインフラ整備と企業向けの土地取得は、土地取得に関わる企業とビルマ国軍の双方を巻き込んで物議を醸している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは最近発表した報告書で、通信関連企業について、十分な人権保護策が設けられる前にビルマ市場に参入すれば、人権侵害に関わるリスクを負うことになると指摘した。現在13か国の通信事業者が入札に参加している。

米国企業は、石油・天然ガス田という有利な分野で入札を行う可能性がある。ビルマ政府は4月11日に、沖合にある30の石油・天然ガス田について入札を開始した。応札期限は6月14日だ。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは米国企業に対し、人権または社会・環境影響評価の結果を救済策と合わせて公表するよう求めた。評価書も救済策のどちらも、今回米国政府が定めた報告要求では開示義務がない。

「ビルマの投資家は、人権侵害と汚職に関与しないよう注意深く行動する必要がある」と、前出のミソルは指摘する。「投資は、独立しかつ信頼できるリスク評価、影響を被る地元社会との徹底的な協議、リスク要因最小化に向けた明確な計画と救済策に基づいてのみ行われるべきである。」

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