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アフガニスタン:支援東京会合 人権を優先課題に

日本を含む援助国・援助機関は女性の権利とジャスティスを援助の中心に据えよ

(東京)-アフガニスタンの未来を議論する日本などの援助提供国・機関の会合「アフガニスタンに関する東京会合」は人権を最優先課題にすべきである、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。アフガニスタンでは暴力や戦争が今も暗い影を落とす。およそ70カ国の代表が2012年7月8日の東京会合に集まって、2014年中にほとんどの国際部隊が撤退した後の極めて重要な数年間の援助について議論する。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムスは、「アフガニスタンの人権の現状は問題があるが、更に悪化さえし得る」と指摘。「こんにち、援助提供国・機関が下す諸決定は、アフガン一般市民のこの先の生活に、極めて多大な影響及ぼすことだろう。」

女性の権利が同会議において主な焦点課題とされるべきだ。2001年以来、教育や保健・医療へのアクセス、雇用、移動の自由、公職参画などを含む分野で、女性の権利に重要な進歩がみられた。が、アフガンの女性は今もなお大きな障害の数々に直面している。

同国の少女の半数は学校に通っておらず、高校まで卒業できるケースは稀だ。妊産婦の死亡率は世界最低水準のまま。女子校への襲撃も日常茶飯事である。女性が公職につくと、あるいは単に自宅外で働いただけでも、脅迫されたり、時には暴力に直面することになる。女性に対する暴力事件は、その削減を目指した法律が2009年に成立してもなお、加害者のほとんどが不処罰のままなのが現状だ。およそ400人の女性と少女が「道徳犯罪」で投獄されているが、その罪状には家庭内暴力や強制結婚から単に逃れてきたことまでもが含まれている。

東京に集まる日本を含む援助提供国・援助機関は、アフガン政府に、国際社会による援助の継続は女性の権利に関する進展の延長線上にあることを明確にすべきだ。また、学校、診療所、病院、避難施設、そのほか必要不可欠な社会サービスを援助するのに十分な資金の提供継続を確保すべきだろう。

アフガン政府もその国際的援助国・機関も、アフガニスタンの未来についての意思決定過程の場にアフガンの女性が参画するための十分な措置を講じてこなかった。北大西洋条約機構首脳会議が5月にシカゴで開催されたが、重要な議論から女性が締め出される事態が繰り返された。こうした現状は、タリバンに譲歩してでも和平を手に入れたいという欲求ゆえに、女性の権利が安売りされるのではないかという懸念を深める。

東京に集ったアフガン政府とその援助国・機関は、同国の未来についての議論に、女性をより多く含む旨を約束すべきだ。アフガニスタンの司法制度は機能不全のため、人権を保護できない。検察官と裁判官は多くの場合に法律の訓練が十分でなく、汚職はまん延、女性に対する偏見は例外ではなく常識だ。東京会合の日本を含む援助提供国・機関は、司法制度内の汚職根絶と、検察官、裁判官、警察官による「女性に対する暴力撤廃法』の執行を徹底させるべく直ちに措置を講じるよう、カルザイ大統領に求めるべきだ。

アフガン治安部隊は近年プロフェッショナル化が進んできたとはいえ、今なお罪を問われる恐れもなく、殺人、拷問、恣意的拘禁などの重大な人権侵害を犯している。

東京会合で、日本を含む援助提供国・機関は、人権モニタリングそして人権侵害を犯した個人の効果的な訴追を強化するよう求めるべきだ。国軍、国家警察、アフガン地方警察ほか、政府が後ろ盾の民兵グループなどあらゆる治安組織を対象とした全国的な苦情処理機構の創設もアフガン政府は約束すべきだろう。この文民機関は人権侵害申立を調査すると共に、事件の訴追を勧告し、更には治安部隊員の採用の際の徹底したチェック(vetting)を支援するべきだ。

「アフガニスタン独立人権委員会』(AIHRC) が同国での人権保護にとって、極めて重要な機関であり続けており、国際的な援助提供国・機関の更なる支援が求められる。アフガニスタン内における国際社会の存在感が縮小するなかで、アフガニスタン独立人権委員会が捜査と政策提言、更には個人支援を通じて行っている活動は極めて重要であり、その重みは今後一層増すだろう。

カルザイ大統領は近ごろ、同委員会の障害となる行動をいくつかとっている。2011年に同委員会の委員3人を解任する案を公表しながら、その後の行動はとらずに、同委員会を数カ月にわたって不安定な状態のまま放置した。全委員の任期が12月に切れており、委員たちは仕事を続けているものの、その活動にマイナスの影響がでており、指名問題が解決するまではほどんど凍結された状態に等しい。日本を含む援助提供国・機関は東京会合で、カルザイ大統領に委員を再指名するか補充するよう、圧力をかけるべきだ。大統領が有能な委員を維持し、新たな指名には人権の保護と政策提言の分野で申し分のないキャリアを持つ人物を候補とすることを、援助提供国・機関が確実にせねばならない。

重大な人権侵害に対する不処罰は、アフガニスタンにおいて深刻な問題だ。カルザイ大統領はその点においても、同委員会の努力に対する障害となった。ソビエト支配時代にまでさかのぼる同国の人権侵害を調査して取りまとめた、紛争マッピング報告書公開を許さなかったのだ。もし公開されていれば、それは同国で起きた人権侵害に対する不処罰の終焉の支援という、極めて重大な役割を演じることができただろう。検閲されていない報告書全文の即時公開に対する支持をカルザイ大統領に促すよう、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、東京会合のために集結した日本を含む援助提供国・機関に要請した。

前出のアダムス局長は「人権侵害をノ-チェックで放置することは、アフガニスタンの未来にとって、不安定さや貧困と同じくらい深刻な脅威となる」と指摘する。「東京会合は日本を含む援助提供国・機関が、アフガニスタンにおける人権保護の更なる後退はあり得ないということを明らかにする機会とすべきだろう。カルザイ大統領は、この先何年にもわたる政権の人権問題改善に関して、明確で実行可能な約束をすべきだ。」 

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