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中国:艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏の違法拘禁 中国政府の「法の支配」軽視のあらわれ

違法な令状なしの逮捕 保釈後も厳しい制約の危険

(ニューヨーク)-芸術家であり活動家でもある艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏が6月22日に保釈されたことで、家族や友人、支援者に安堵感が広がっている。しかし、彼の逮捕拘禁そして保釈条件にまつわる様々な問題については未解決のままである、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。特に懸念されるのは、艾氏逮捕の政治性、警察が艾氏から"自白"を引き出した状況、保釈後に同氏の自由が制約される可能性である。

国営新華社通信は艾氏保釈の後、「良好な姿勢で罪を認め、更に、詳細不明であるものの、慢性疾患を患っているために保釈された」と伝えた。加えて、「今回の保釈は、脱税容疑について、艾氏が税金を払う意向を繰り返し表明したことを考慮しての結果」でもあるという。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア・アドボカシー・ディレクターであるソフィー・リチャードソンは「中国政府による艾未未氏の逮捕は政治的であったし、保釈にあたっての決断も同じく政治的だ」と述べた。「一方で、同氏の逮捕拘禁で評判が失墜した中国政府のつけは非常に大きい。また、国際圧力が効果を持つことを示す好例となった。」

艾未未氏(54歳)は中国で最も著名な芸術家のひとりで、かつ政府を批判する発言も積極的に行っている。4月3日に北京首都国際空港で強制失踪させられ、7日になってようやく拘禁が確認された。その後80日間、所在不明のまま警察による「居住監視」の下に置かれた。弁護士との接見は許されず、妻が面会を許されたのは拘禁から42日目にあたる5月15日の1度だけだった。

保釈後数時間、同氏はいく人ものジャーナリストや活動家と携帯メールでやりとりをしたが、おそらく北京郊外の法律上登録されている居住地に戻されることになるだろう。移動の自由は制限され、定期的な警察への出頭も義務づけられるとヒューマン・ライツ・ウォッチはみている。

過去6カ月の間に中国政府は、何十人もの活動家、執筆家、弁護士などを強制失踪させた他、恣意的に拘禁している。釈放された人びとの中には、不自然な沈黙や引きこもりの状態にある人も多く、発言を続ければ更に虐待すると脅されているのではないかという懸念が広がっている。2月中旬以来、 艾氏ほど著名ではないものの、少なくとも10名の個人が強制失踪の犠牲者になっている。彼らは隔離拘禁されたまま未だ所在不明で、したがって拷問されている危険性が高い。

前出のリチャードソンは、「今回、艾未未氏を拘禁し続けるのは割に合わないと中国政府が判断するのに、国際圧力が功を奏したとみえる」と述べる。「中国政府が続ける一連の弾圧政策による多くの無実の犠牲者の釈放を求めて、国際社会は同様の圧力をかけ続けるべきだ。」

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