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スリランカ:人権団体が、強力な国連決議を要請

人権理事会はマンデートを強化し、人権侵害の拡大に対処すべき

Sri Lankan human rights activists protest against the Prevention of Terrorism Act outside the UN office in Colombo, March 3, 2022. © 2022 AP Photo/Eranga Jayawardena

(ジュネーブ)― 国際人権団体4団体は本日、国連人権理事会の理事国宛の書簡を発表し、国連人権理事会がスリランカ政府に関する強力な決議を採択することを求めた。同決議は、国際法上の犯罪へのアカウンタビリティに関する現在の国連のマンデートを強化するとともに、悪化している国内人権状況を監視する内容とするべきであり、かつ、スリランカ政府に対し、強権的なテロ防止法の適用の中止など、拡大中の人権侵害に対処することを求める内容とするべきである。

スリランカは、経済、政治、人権上の深刻な危機のさなかにある。ゴタバヤ・ラジャパクサ前大統領は2022年7月に大規模な抗議運動を受けて辞任し、後任のラニル・ウィクラマシンハ現大統領が行っている治安維持策は、表現の自由と平和的な集会を抑圧するなど、人権侵害を引き起こしている。ミシェル・バチェレ前国連人権高等弁務官は9月6日発表の報告書で、幅広い人権問題について報告したうえで「スリランカ国民は団結して(…)大規模な抗議運動を行い、透明性の向上、汚職や経済政策の失敗についてのアカウンタビリティの追及、民主的生活への参加拡大を求めた」と指摘。そしてスリランカ政府に対し、抗議行動参加者の権利を尊重し、過去の違法行為の不処罰に終止符を打ち、現在の危機の根本原因に対処するよう求めた。

「スリランカでは長年にわたり、人権侵害の被害者たちが法の下の裁きを求めてきた。しかし歴代政権は、約束を破り続け、アカウンタビリティの追及を阻み、戦争犯罪に関与した者に高い役職を与えるなどしてきた」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの南アジア局長ミーナクシ・ガングリーは述べた。「国連人権理事会はスリランカに関する決議を採択し、政府にアカウンタビリティと法の支配を尊重するよう強く働きかけるべきだ。」

9月12日に始まった国連人権理事会第51回会期では、理事国は2021年3月の決議の評価・アップデートを行うことになっている。2021年決議は、国連アカウンタビリティプロジェクト(スリランカで行われた国際法上の犯罪の証拠を収集・整理し、将来の訴追に利用する目的)を設立するとともに、国連にスリランカの状況を監視・報告するマンデートを与える内容だった。アムネスティ・インターナショナル、フォーラム・アジア、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、国際法律家委員会は本書簡の中で、リソース追加を含め、これらのマンデートを更新し、強化することが不可欠、と指摘する。

前国連人権高等弁務官は上記報告書で「軍事化が進み、ガバナンス面での透明性/トランスペアレンシーとアカウンタビリティ(責任追及)が欠如しているために、深刻な人権侵害の不処罰が構造的な問題となっており、汚職と権力乱用を生む環境が作り出されている」と記した。そして、スリランカ国内でアカウンタビリティが確保されていないのだから、国連加盟国は国際犯罪の疑いがあるスリランカ人を普遍的管轄権の原則にしたがって国外法廷で訴追するとともに、海外に存在する、スリランカから隠匿された財産を追跡、凍結する取り組みを支援すべきだと述べた。さらに、250人以上が死亡した2019年のイースターサンデー爆弾事件の捜査に国際社会が関与するよう求めた上で、スリランカ治安部隊の役割についていまだ明らかにされていない部分があることを指摘した。

「国連人権高等弁務官は、不処罰を終わらせ、スリランカ国民に法の下の裁きをもたらすために、国際社会が直ちに行動しなければならないとする明確な調査結果を提示した」と、国際法律家委員会の国連代表兼上級法律顧問マッシモ・フリゴは述べた。「人権理事会がこの10年間スリランカに関与していることは、被害者にとっての希望だ。しかし、改革に向けた約束は散発的になされるだけで、実行されてもいない。理事会はこの問題に持続的に注意を払うべきだ。」

ウィクラマシンハ大統領は7月21日の就任以来、軍隊を使い暴力的に抗議行動を解散させ、数多くの人びとをデモに参加したとして逮捕している。また悪名高い反テロ法の使用を命じて、学生リーダー3人の身柄を訴追(charge)なきままに拘束し続けている。G・L・ピーリス前外相は6月に人権理事会に対し、政府はこの法律の使用のモラトリアムを守ると述べた。アリ・サブリー外相も法相時代の3月にスリランカ議会で同じ約束をしている。

9月8日、ウィクラマシンハ大統領は、人権侵害関与の容疑のある3人を閣僚に任命した。シワネサトゥライ・チャンドラカンタン(通称「ピラヤン」)(Sivanesathurai Chandrakanthan aka “Pillayan”)氏は、中央政府からの分離を求めるタミル・イーラム解放の虎(LTTE)に参加、その後、政府派武装組織に加わった。この2つの組織はともに、誘拐や子ども兵士の徴用を行った。2005年の国会議員殺害事件への関与を問われたが、2021年に検事総長は起訴を取り下げた。ロハン・ラットワッ(Lohan Ratwatte)氏は、囚人に銃口を向けて脅迫したことで、2021年9月に刑事施設担当閣僚を辞任した。サナト・ニシャンタ(Sanath Nishantha)氏は、5月9日に起きた反政府抗議行動への暴力的な襲撃に関連があるとして、警察の捜査を受けている。

「こうした閣僚人事から、ウィクラマシンハ政権には人権侵害のアカウンタビリティの実現も法の支配の維持も期待できないことがわかる」と、フォーラム・アジアの国連アドボカシー・プログラム・マネージャーであるアーメド・アダムは述べた。「今日のスリランカの憂慮すべき状況を踏まえ、スリランカ国民の権利保護のために、人権理事会には強固で明確な決議を採択することが求められている。」

理事国宛書簡で、この4団体は、新たな人権理事会決議は、スリランカ国内の人権への脅威、そして、スリランカの危機に関連する人権侵害行為を対象にすべきと指摘。決議は、スリランカ政府に次のことを要求する内容とすべきである。

  • 報復や逮捕を恐れることなく、自由かつ平和的に抗議行動を実施し、意見を表明する人びとの権利を尊重すること。
  • 近時の抗議行動の参加者または支持者とみなされた人びとへの嫌がらせ、脅迫、恣意的拘束をやめること。
  • テロ防止法について、これを廃止し、それまでは適用を直ちに停止すること、また法に基づいて拘束されている者の拘束を見直し、国際的に認められた罪に問われていない者全員を直ちに釈放すること、また公判前勾留中の者を含め、法に基づいて拘束されているすべての者が通常裁判所で迅速かつ公平に裁かれるようにすること。
  • 司法と人権委員会の独立性を回復すること。

「歴代のスリランカ政権が、国連人権理事会で約束をしたり、その後にそれを破棄したり、認めなかったり、といったことをこれまで何度もみてきた」と、アムネスティ・インターナショナルの南アジア部長ヤミニ・ミシュラは述べた。「理事国はスリランカに約束を守るよう迫り、いますぐ、いまも続く人権侵害をやめるよう求めるとともに、人権状況を監視し、過去の人権侵害のアカウンタビリティを追及する国連の権限を更新、強化すべきである。」
 

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