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日本: ASEAN首脳会議で人権状況改善 促すべき

「価値観外交」を実践し、公けに人権問題の提起を

(東京)- 安倍晋三首相は、日・ASEAN首脳会議において、人権を主要な議題とし、公けに懸念を表明すべきである。ヒューマン・ライツ・ウォッチはこの点を強調した書簡を首相宛てに送付、本日これを公開した。日・ASEAN首脳会議は、2013年12月13~15日に東京で行われる。

ASEAN各国首脳との会談で、安倍首相は2013年1月28日の所信表明演説で明らかにした「自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった、基本的価値に立脚」という展望を現実のものにすべきだ。そして安倍首相は、人権に関する「水面下」外交の伝統から脱却して、パブリックディプロマシーや建設的批判も行う戦略的な方針をとるべきである。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗は「安倍首相はこの絶好の機会を活かし、人権と民主主義という基本的な価値に立脚した外交の真の姿を示してほしい」と述べる。「日本はASEANの国々の主要なドナー国であり、基本的権利と基本的自由の促進は日本にとって重要な関心事である。この2つは良い統治と国の発展に不可欠だからだ。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは安倍首相に対し、ASEAN各国首脳との会談の場で、次に挙げる問題などを取り上げるよう要請した。

· ラオス:著名な社会活動家ソムバット・ソンポーン氏の拉致事件に重大な懸念を公に表明すること。氏は1年前の2012年12月15日に強制失踪させられ、現在も消息不明である。

· カンボジア:選挙違反に関して、国際社会の支援を受けた独立調査の実施を求めること。また選挙制度改革への支援については、今後の選挙が、国際的な人権規範に適った形で行われることを保障する手順について合意がなされるまでは見合わせること。

· ベトナム:政治囚を即時無条件に釈放すること、ならびに、改正憲法に記された人権関連の文言を現実化させる、司法改革プロセスに着手するよう強く求めること。

· インドネシア:宗教的少数者への暴力行為と差別の増加の対処を強化し、女性の権利を侵害する政令の激増に懸念を表明するよう促すこと。

· ビルマ:ロヒンギャ民族とカチン民族に対して現在も続く人権侵害を停止するよう求めること。また、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の現地事務所設置を許可するよう求めること。

· タイ:政治的な所属や立場にかかわらず、権利侵害に責任がある全員を訴追し、不敬に関する法律を改正するよう促すこと。

· フィリピン:アキノ大統領が2012年11月に設置した、超法規的処刑に関する省庁横断型委員会をしっかり機能させ、地方当局に民兵組織の武装許可を与える大統領命令第546号を取消すよう、政府に対して強く求めること。

· マレーシア:人権侵害の原因となる1959年の犯罪防止法の改正を取り消し、扇動法を廃止し、また野党指導者アンワル・イブラヒム氏の迫害を終わらせるよう、政府に促すこと。

· シンガポール:インターネットへの過剰な規制に懸念を表明すること。また、表現、結社、集会の自由を損なう法令の改正の必要性を指摘すること。

· ブルネイ:新刑法の人権侵害的条項を削除し、同国刑法が国際人権基準に完全に適合的であることを保障するよう、国王に促すこと。

前出の土井日本代表は「安倍首相は、ASEAN加盟国の政府が人権の保護を怠っていることに対し、積極的に懸念を表明し、改善を促してほしい」と指摘。「東南アジアの重大な人権問題は、『静かな外交』だけでは解決できないのだから。」

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