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香港:高層マンション火災 透明性とアカウンタビリティが必要

当局は批判への弾圧を止め、独立調査に着手すべき

香港・大埔地区の高層マンション「宏福苑」で発生した火災現場付近に犠牲者への献花が捧げられた様子、2025年12月1日。 ©2025 AP Photo/Chan Long Hei

(バンコク)―少なくとも151人が死亡、79人が負傷した高層マンション火災に関連した不正行為について、香港政府は透明性のある調査を実施し、アカウンタビリティ(説明責任)を確保すべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。

2025年11月26日、修繕工事中の高層マンション「宏福苑」で発生した火災について、政府は予備調査を行い、マンション8棟を覆う防護ネットの一部が防火基準を満たしていないことを明らかにし、修繕工事を請け負った企業の関係者13人を過失致死の容疑で逮捕した。香港当局は今回の火災について調査を行う独立委員会を設置し、批判に対する弾圧を停止し、平和的な活動を理由に逮捕された3人への起訴を取り下げるべきである。

「宏福苑の火災は、中国政府による香港の報道の自由、民主的な立法会、活発な市民社会に対する弾圧が、政府による監督監視や安全対策に与えた影響について深刻な懸念を提起している」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長エレイン・ピアソンは述べた。「この悲劇的な火災の真相を求める人びとを犯罪者扱いしないことが極めて重要だ」。

今回の火災以降、政府のアカウンタビリティを求める声が高まっている。宏福苑の住民はこれまでも、コンプライアンス面に問題のある建設会社の起用に抗議し、入札での談合や汚職があると主張していた。建材などについて安全面での苦情申立ても行っていたが、当局からは無視されたと報じられている。

香港当局は平和的な批判や草の根の取り組みを弾圧している。11月28日には、数百人が宏福苑付近に集まり、被災者への物資の寄付や配布を行った。しかし、活動が注目を集めると、政府は警官隊を現場に送り、ボランティアに退去を要求して、政府職員に現場を引き継がせた。

11月29日、独立調査を求めるオンライン署名活動を始めた大学生の關靖豐(マイルズ・クワン・チンファン)氏が警察に拘束された。容疑は国家安全保障を脅かす犯罪である「扇動の意図」だと報じられている。關氏は12月1日に警察署から出ていくところが目撃されたが、警察は事件に関する情報を一切公表しなかった。關氏のオンライン署名と関連するInstagramアカウントはすでに削除されている。

12月1日、地元メディアの報道によると、国家安全警察が「政府への憎悪を煽動した」容疑で、被災者支援のボランティア1人と元区議会議員の張錦雄(ケネス・チョン・カムホン)を逮捕した。この件についても、警察は一切情報を開示していない。

香港保安局の鄧炳強(クリス・タン・ピンキョン)局長は、人びとがデマを拡散していると非難した上で、こうした行為は「香港の安定を損なう」ものだと述べた。中国政府の駐香港国家安全維持公署は、災害を利用して「政府への憎悪を煽動」しようとする「反中・反香港」勢力は、厳格な香港国家安全法に基づき処罰されると警告した。

香港当局は災害後に市民が行う批判に対して、中国政府と同様の対応を取るべきではないと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。2008年の四川大地震、2011年の浙江省温州市での高速鉄道衝突脱線事故、2022年の湖北省武漢市での新型コロナ感染爆発のいずれについても、中国当局はアカウンタビリティを求める市民を拘束し、内部告発者や被害者・遺族の発言を封じ、情報を検閲し、証拠を破壊さえした。

これに対し、イギリス領香港当局は主権移譲前の1996年に起きた大火災の際には、徹底的な独立調査を実施し、建築安全基準を改善した。

現在の香港での弾圧は、人びとが公に意見を表明することを完全には封じていない。香港市民数千人が宏福苑近くで献花を行っている。關氏の拘束を受けて、厳格な国家安全法を理由に国外に逃れた人びとを含む海外在住の香港人はアカウンタビリティを求めるオンライン署名活動を開始し、オーストラリアドイツ日本英国などで追悼集会や抗議行動を組織している。

「香港政府は、都合の悪い質問を投げかける市民に逮捕の脅しで応じるのではなく、火災に関する独立調査委員会を設置するべきだ」と、前出のピアソン局長は述べた。「今回の悲劇は取り返しがつかないことだ。しかし、当局は政府高官を含む関係者の責任を追及し、被害者に十分な補償を行うことで、悲劇がさらに深刻なものになることを防ぐことができるのである」。

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