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香港・西九龍裁判所前で、息子で活動家の呂智恆氏の有罪判決に抗議していた母親Elsa Wu氏の看板を撤去する警察、2024年11月19日。 © 2024 David Chan/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

(バンコク)―中国政府は2024年も国の全域で組織的な人権抑圧を続けた、と本日発表の『世界人権年鑑2025』でヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。特にチベット人居住地域および新疆のウイグル人に対する弾圧がひどく、当局は香港でも基本的な自由の廃止を進めた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、35年目の刊行となる年次報告書『世界人権年鑑2025』(全546頁)で、100カ国以上の人権状況を検証した。ティラナ・ハッサン代表は序文で次のように述べている。世界の多くの国々で、政府が政権批判者、活動家やジャーナリストに圧力をかけ、不当に逮捕・拘禁した。武装集団や政府軍は違法に一般市民を殺害し、多くの人びとを家から追い出し、人道支援へのアクセスを遮断した。2024年に世界で実施された70以上の国政選挙の多くでは、権威主義的なリーダーたちが差別的なレトリックと政策で地歩を固めた。

「表現の自由から信教の自由まで、中国政府は2024年を通して国を抑え込み続けた」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチ中国局長代理である王松蓮(マヤ・ワン)は述べた。「中国政府は暴力的な法律をさらに厳格化し、批判者や人権擁護活動家を投獄すると同時に、国の全域で行われている政府による侵害行為について報じるのをますます難しくしている」

  • 中国政府は国家秘密保護法を改正して実施条例も公表し、元々広すぎた同法の適用範囲をさらに拡大した。経済の批判など、以前は許容されていたことが禁止された。
  • 中国政府は人権擁護活動家の投獄を続けた。人権派弁護士の余文生(Yu Wensheng)氏と妻で人権活動家の徐燕(Xu Yan)氏は二人とも、中国を訪問中の欧州連合(EU)代表に会いに行く途中で拘束された。裁判所はフェミニストのジャーナリストである黄学琴(Huang Xueqin)氏と労働問題活動家である王建兵(Wang Jianbing)氏に拘禁刑を下した。
  • 香港政府は3月に新たな国家安全維持法となる香港国家安全維持条例を導入した。同条例は平和的な活動を犯罪とし、警察の権力を拡大し、適正手続(デュープロセス)の権利を弱めるものである。11月、香港の裁判所は45人の民主化運動家に根拠のない厳刑を言い渡した。
  • 数十万人ものウイグル人がいまだに恣意的に拘束・投獄されており、そうした人びとに対する暴力は中国政府が新疆で行っている人道に対する罪に含まれる。国連人権高等弁務官事務所は8月、国連が2022年に新疆に関する報告書で詳述した「問題のある多くの法律や政策」が今も残っていると報告した。
  • チベットの亡命メディアは、四川省のデルゲ県で僧侶や村人ら数百人が水力発電ダムの建設に抗議している様子を映した映像を入手した。このダムにより歴史的な僧院やチベット人の住む多数の村が水没する。報告によれば数百人の抗議者が拘束され、これまでに大半は釈放されたものの、僧侶や村の指導者たちなどが今も強制失踪状態であるがその数は不明である。

中国政府はウイグル人ほか不当に投獄された人を直ちに釈放し、香港の2つの国家安全維持法を撤回し、チベットと新疆の全域に独立したオブザーバーが入ることを認め、中国全域で拘束されている人権擁護活動家を釈放するべきだとヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

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