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日本サッカー協会の会長がカタールの人権問題を棚に上げる

協会は姿勢を変え、移住労働者の補償基金の設置を支持すべき

Japanese national soccer team's head coach Hajime Moriyasu and Japan Football Association President Kozo Tashima attend a news conference to name the squad for the 2022 Qatar World Cup, in Tokyo, Japan November 1, 2022. REUTERS/Kim Kyung-Hoon   © Reuters

今週、FIFAワールドカップがカタールで開幕した中、日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長は「今サッカー以外のことでいろいろ話題にすることは好ましくない」とメディアに語りました。田嶋氏は、フランス、ドイツ、イングランドを含む欧州チームらがカタール政府のレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(LGBT)に対する差別に抗議していることについて聞かれたのです。同氏の回答は、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長による、人権問題よりも「サッカーに集中しろ」という発言を事実上繰り返すものでした。

「あくまでサッカーに集中すること、差別や人権の問題は当然のごとく協会としていい方向に持っていきたいと思っているが、協会としては今はサッカーに集中するときだと思っている。ほかのチームもそうであってほしい」と田嶋氏は説明しました。

実に「好ましくない」のは、田嶋氏の発言がJFAの公約である「社会と国際貢献」と矛盾することです。また、カタール当局が深刻な人権侵害を犯した事実を棚に上げる発言でもあります。例えば、当局はLGBTの人びとを恣意的に拘束し虐待した上、同性同士の関係を犯罪とする法律もあります。また、当局は2200億米ドル相当のワールドカップを実現するにあたり、バングラデシュ、ネパールやインドからの移住労働者を猛暑の中、極端な低賃金で働かせるなど、労働の権利を幅広く侵害してきました。

カタール当局は、何千人もの移住労働者が負傷したり、「原因不明の死」を遂げたにも関わらず、意味があり効果的な捜査は行っていません。多くの移住労働者は無給で帰国させられ、唯一の稼ぎ手を失った家族には補償が与えられませんでした。カタール政府は最終的に労働法を改定し、移住労働者が雇用者の許可なく転職できるようにしたり、最低賃金を上げました。しかし、この改革はあまりにも遅かった上、多くの移住労働者が恩恵を受けるには施行が不十分でした。

13カ国のサッカー連盟が、移住労働者と家族に対して不当な低賃金、怪我、死亡の補償を行う補償基金の設立を求めるヒューマン・ライツ・ウォッチやその他の人権団体の要求を支持した上、FIFAのスポンサーであるABインベブアディダスコカ・コーラ、ビザ、マクドナルドも同様に支持しました。一方、JFAはしていません。

田嶋氏とJFAは、こうした人権侵害に背を向けるのではなく、補償基金の設置を支持して、移住労働者とその家族に寄り添うべきです。また、LGBTの人びとと連帯を表明したい選手やファン、その他の代表チームを支援し、スポーツにおける人権侵害を終わらせるために立ち上がるべきです。

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