Rohingya refugees shortly after arrival in Bangladesh. 

© 2017 Human Rights Watch

(ニューヨーク)― ビルマ治安部隊によるロヒンギャ住民への行為は人道に対する罪に該当すると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。国軍はラカイン州北部のロヒンギャ・ムスリムに対する追放、殺人、レイプ、迫害を行い、多数の死者と大量の避難民を発生させている。

人道に対する罪を止めるため、国連安全保障理事会と関係国はビルマ国軍に対し、対象限定型制裁と武器禁輸措置を直ちに科すべきだ。国連安保理はビルマ政府に対し、困窮する人びとに対する援助機関のアクセスを認め人権侵害行為を調査する国連の事実調査団の入国を許可し、避難民の安全かつ自発的な帰還を保証するよう求める必要がある。また安保理には、人道に対する罪を行った人びとについて、国際刑事裁判所(ICC)への訴追を含め、法的責任を追及する手段を検討することが求められる。

「ビルマ国軍はロヒンギャをラカイン州北部から暴力的に追放している」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの法務・政策ディレクターのジェイムズ・ロスは述べた。「住民の大量虐殺と大規模な放火により人びとは住む場所を追われている。こうした行為はすべて人道に対する罪に該当する。」

人道に対する罪は国際法上の犯罪として「文民たる住民に対する攻撃であって広範又は組織的なものの一部として、そのような攻撃であると認識しつつ行う」行為とされる(ICCローマ規程第7条)。ビルマ国軍のロヒンギャへの攻撃は広範かつ組織的なものだ。ビルマ国軍と政府当局者の声明は、当該住民を攻撃する意図があることを示していると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。

人道に対する罪は、ハーグにある国際刑事裁判所の管轄権の対象犯罪であり、普遍的管轄権が行使される犯罪である。つまりビルマ国外の裁判所で、被害者と加害者のいずれも当該国の国民でなくても訴追対象となりうる。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの現地調査と衛星写真の分析からは、追放、住民の強制移送、殺人、殺人未遂、レイプなどの性的暴行、迫害といった犯罪行為が判明した。「迫害」とは、「集団または共同体の同一性を理由として、国際法に違反して基本的な権利を意図的にかつ著しく剥奪すること」と定義される(ICCローマ規程第7条2(g))。国際法に正式な定義はないが、今犯されている侵害は民族浄化にも該当する。

2017年8月25日、アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)を名乗る武装集団がラカイン州北部で警察施設など約30カ所を襲撃した後、ビルマ治安部隊は大規模な放火、殺人、レイプ、略奪のほか、数百カ村の破壊を行った。40万人以上が隣国バングラデシュへ逃れざるを得なかった。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2012年以降、ビルマ政府がラカイン州のロヒンギャに人道に対する罪を行っていることを確認している。

「ロヒンギャを標的としたビルマ国軍の忌むべき犯罪に法的な名前を与えることは、些末に映るかもしれない」と、前出のロスディレクターは述べた。「しかし人道に対する罪が進行中との認識が世界に広がることは、国連と関係国がビルマ国軍に対し、一連の犯罪行為を収束させるため圧力を掛けるよう、促すものとなる。」