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国際刑事裁判所を守ることは日本の使命

国会議員、市民社会が米国の制裁に対抗するリーダーシップを訴える

日本政府に対して国際刑事裁判所(ICC)を守るための取り組みを強化するよう求めるNGO主催のイベントでスピーチをする舟山康江議員。東京、2025年10月9日。 © 2025 Haruka Miyata/Human Rights Watch

10月9日、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、東京を拠点とするNGOであるヒューマン・ライツ・ナウおよびピースボートと共同で院内学習会を衆議院第二議員会館で開催し、日本政府に対して国際刑事裁判所(ICC)を守るための取り組みを強化するよう求めました。重大な国際犯罪の被害者に対する正義実現のための最後のとりでであるICCは、米国からの極めて強い圧力にさらされています。

2025年2月、ドナルド・トランプ米大統領は、ICCとその活動を支援する人びとを対象とした制裁を許可する大統領令に署名しました。イスラエルと米国の当局者をICCの捜査から保護することがそのねらいです。2024年11月、ICC裁判部は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアブ・ガラント元国防相、そしてハマス軍事部門指導者のムハンマド・デイフ(すでに死去)に逮捕状を発行しました。

米国の制裁は、被害者の法の正義へのアクセスを著しく損なう深刻な影響をもたらしかねません。第二次トランプ政権は、ICC検察官、検察官を補佐する2人の副検察官、6人のICC裁判官国連人権専門家、そしてパレスチナを代表する3つの人権団体に制裁を発動しています。米国がICC全体を制裁対象とする恐れもあります。

超党派人道外交議員連盟、ミャンマーの民主化を支援する議員連盟が後援、人権外交を超党派で考える議員連盟が協力として名を連ねた今回の院内学習会では、国会議員約20名が日本政府に対し、ICCを守るため、より強力な措置を講じるよう求めました。

「国際社会において日本が赤根智子裁判長を輩出している非常に重要な責任ある立場として、どのような対応をするかということに、国際的な我々への信頼がかかっている」と、元文部科学大臣の柴山昌彦衆議院議員(自由民主党)は述べました。

日本は、2002年のICC設立以来、ICCに対する強い支持を表明してきました。日本は現在のICCの所長である赤根智子氏をはじめ、これまで3人のICC裁判官を輩出しています。

岩屋毅外務大臣は、マルコ・ルビオ米国務長官に対し、制裁措置について直接問題提起をした一方、日本政府はこの問題についてまだ公の場で態度を表明していません。参加した各団体は、ICCを支持する地域横断的な声明への参加を日本政府が拒否したことを批判しました。また、舟山康江参議院議員(国民民主党)は、「岩屋大臣、それから石破総理も一貫して(ICCを)支持する、問題提起をしたといっていますけれども、具体的に見えなければ何をやっているんだというところです」と指摘しました。

ICC が深刻な脅威に直面している今、日本政府はあらゆる機会を活用してICC への支持を公に表明し、米国の制裁を非難し、大統領令を取り消すようトランプ大統領に求めるべきです。また、ICC が必要とするリソースの提供を支援し、ICC の特権及び免除に関する協定(2002年)を締結してICC職員を保護し、米国による制裁の影響を阻止するための行動を取るべきです。日本には法の正義のために立ち上がることが求められているのです。

皆様のあたたかなご支援で、世界各地の人権を守る活動を続けることができます。

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