(ニューヨーク)イエメンのサレハ大統領は、治安部隊に対し、命を危機にさらす違法な武器の使用をやめるよう即刻命令すべきである、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。2011年4月4日、サレハ大統領の親族に直属する治安部隊が、タイズの丘で政権に抗議する平和的なデモ隊に対して発砲し、少なくとも6人、最大で10人が殺害された。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東・北アフリカ局長ジョー・ストークは「2カ月もの間、イエメンの治安部隊はデモ隊の人命を甚だしく軽視している。何の刑罰も受ける恐れがないのをいいことに、平和的なデモ隊の列に対して発砲し、殺害している」と述べる。「サレハ大統領はその発言の中で、この危機の解決を求めているが、支配下の軍隊がデモ隊に発砲する現実の前では、ほとんど意味をなしていない。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2月中旬から治安部隊と平服の政府支持者が、サレハ大統領の辞任を求めているデモ隊に対して攻撃を繰り返している実態を取りまとめてきた。ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査によれば、これらの攻撃で少なくとも82人が殺害され、数百人が負傷している。

目撃者の数人がヒューマン・ライツ・ウォッチに語ったことによれば、反サレハを掲げるデモ隊の拠点であるタイズでは、サレハの甥と息子が司令官をつとめる国家治安維持機関と共和国防衛隊が、4月4日、政府機関の入る建物へのデモ行進を妨げようとデモ隊に向かって発砲。メディア報道によると、デモ参加者数人がデモ行進を妨害しようとした治安部隊に対して石を投げたところ、平服の政府支持者がデモ隊に向かって発砲したとのことである。

軍医がヒューマン・ライツ・ウォッチに語ったことによれば、デモの最中に死亡した6人の遺体と、10人を超える銃創を負った負傷者が現地の病院に搬送されたという。海外メディアは、デモ参加者のうち少なくとも10人が死亡したと発表。軍医は、数百人が催涙弾の直撃を受けていたと語る。タイズでは以前から、治安部隊が政府機関のある建物へのデモ行進している際に、空中射撃や催涙ガス弾の発砲、警棒での暴行などが目撃されていた。少なくとも20人が負傷し、数百人が催涙ガスの副作用に苦しんでいるという。

治安部隊は4月3日及び4日にもフダイダ西部の港町で、反サレハを掲げるデモ隊に対して発砲し6人が負傷したと、目撃者たちがヒューマン・ライツ・ウォッチに語っている。ハジャ北部の都市では、国家治安維持機関の警官と平服の政府支持者が同時に、反サレハのデモ隊が座り込みのデモを行っていた際、実弾と投石で攻撃したという。軍隊の一部は政府機関のある建物付近からデモ参加者に発砲。銃撃による傷を受けた3人を含む19人が負傷した。

国連人権委員会は、イエメンにおけるデモ隊に対する違法な武器の使用を含めた人権侵害についての特別会期を計画すべきである、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。さらに、援助国はイエメンに対する全ての軍事援助を停止すべきである。

「米国などの外国政府は、イエメンが攻撃を停止し、法的な責任を果たさない限り、当国に対する軍事援助をすべきではない」と前出のストークは述べる。「イエメン政府による執拗な攻撃からわかることは、ただ非難するだけでは流血の惨事を止めることはできないということだ。」