ヒューマン・ライツ・ウォッチは、国連の人権理事会の理事国への再選を目指していたスリランカを阻止する運動をリードし、これに成功しました。
スリランカの人権状況は、過去2年に亘り、悪化の一途を辿っています。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、同国内の拉致や「失踪」件数の急激な増加、数百件に及ぶ超法規的殺害、また、蔓延する被拘禁者に対する拷問や、スリランカ政府が子ども兵士を使用・容認している実情などを調査して記録・発表し続けてきました。同国では、若い男性たちが、拉致・「失踪」し、その後殺害されたとみられる事件が数百件発生していますが、ヒューマン・ライツ・ウォッチは今年3月、この件についての政府の責任を徹底的に追及した報告書を発表していました。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、国連人権理事会の選挙に当たり、スリランカの現地NGOその他関係者と連携し、同国の悲惨な人権状況を白日の下にさらすとともに、世界中の各国政府に書簡を送付。また、詳細なウェブサイトを開設し、3名のノーベル平和賞受賞者(南アフリカのデズモンド・ツツ大司教、アルゼンチンのアドルフォ・ペレス・エスキベル氏、そしてジミー・カーター米国元大統領)からのキャンペーンへの賛同を取り付け、その声を寄せてもらっていました。スリランカは、国連人権理事会の理事国再選をかけて強力なロビー活動を展開したものの落選。人権理事会の理事国になるための資格として、その国が高い人権基準を実現していることが挙げられていますが、スリランカ落選で、この基準がしっかり守られたといえます。