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ミャンマー:子ども兵士の徴兵と使用を停止せよ

規定年齢以下で徴用され、軍事訓練を経て最前線に送られる子どもたち

ミャンマー・ネピドーで国軍記念日のパレードに参加する軍関係者、2021年3月27日。 © AP Photo

(バンコク)―2021年のクーデター以降、ミャンマー国軍による子ども兵士の徴兵と使用が急増しており、2024年2月に軍事政権が徴用法を制定した後も、かなりの数の子どもたちが採用されていると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。2025年6月19日、国連事務総長は、2024年にミャンマーで武装衝突下での子どもに対する重大な人権侵害行為2,138件を確認したと報告した。これには子どもの徴兵が含まれ、さらに約1,200件が確認待ちだ。

国連はミャンマーについて、クーデター以来、軍事政権および関連勢力による12~18歳の子どもの徴兵事例を1,800件以上確認しているが、「モニタリングが難しく、報復への恐れがあるため、報告された事例数は実態より大幅に少ない可能性が高い」と指摘する。現地の市民団体や反体制活動家は、ヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、捕虜となった戦闘員や脱走兵に子ども兵士が含まれていると述べた。国軍の徴兵担当者は、保護者がいなかったり、避難民だったり、働いていたりする子どもを拉致し、あるいは機会を捉えて採用した上で、実年齢をごまかしたり、確認しなかったりしている。国軍は、子どもを最前線に送り込み、ガイド、ポーター(荷物運搬役)、時には人間の盾として使用している。

「ミャンマー国軍は、子どもをポーター、ガイド、戦闘員として使用してきた長くぞっとさせられる歴史がある」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア・リサーチャーのシェイナ・バウクナーは述べている。「軍政は子ども兵士の使用を直ちに停止し、国連当局と協力し、自らが徴兵したすべての子どもを解放すべきである」。

ミャンマー軍政は、武力紛争下での子どもに対する五つの重大な人権侵害行為(子ども兵士の徴兵と使用、殺害と身体損傷、性暴力、学校や病院への攻撃、拉致)について、国連事務総長が指定する唯一の国家主体だ。正規軍と非国家武装集団について毎年作成されるこのリストは、一般に「恥のリスト」として有名だ。

「ミャンマーの子どもたちが被っている暴力の激しさと、紛争の全当事者、とくにミャンマー国軍による重大な人権侵害行為の急増に、私は衝撃を受けている」と、バージニア・ガンバ国連事務総長特別代表(子どもと武力紛争担当)は4月に述べた。

2023年後半以降、ミャンマー軍政と、反軍政派および民族武装集団からなる連合軍との戦闘が全土で激化している。2024年2月、軍政は2010年の国民軍務法を施行した。これにより、非常事態宣言の有効期間中、18~35歳の男性と18~27歳の女性を最長5年間徴用できることになった。この法律では徴用の除外対象であるにもかかわらず、軍政側で兵員と領土の喪失が増えているため、徴用される子どもの数はますます増えている。

国軍は2024年4月からこれまでに14回の徴用を実施し、1回あたり5,000人の計画に基づき、合計で約70,000人を徴兵したと報じられている。脱走兵が運営する独立系調査団体「ミャンマー防衛・安全保障研究所」は、7回目の徴用を境に未成年者の徴兵が増えており、若い男性や少年を拉致したり、徴用対象者が姿を消した場合にその家族を人質として拘束したりするといった、人権侵害的な手法が増えているとされる。

国軍を最近脱走した2人はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、上層部が徴兵ノルマ達成への圧力を強めているため、また指揮系統全体を通して明確な指示と監督が行われていないため、徴用される子どもがますます増えていると述べた。多くの若者が徴用を逃れるために国外に逃がれている。

前出のミャンマー防衛・安全保障研究所は、宿営地の名簿と国軍の訓練教官の証言に基づき、過去3回の徴用で採用され、4つの宿営地で訓練を受けている人びとのうち、わずか15歳の子ども複数を含む、子ども23人が徴兵されていることを明らかにした。

軍の徴兵担当者は、子どもたちの年齢を偽装または無視している。場合によっては、子どもは身分証明書を持っていない、あるいは徴用者リストに名前のある成人親族が見つからないといった理由で連行されている。

ある少年(17)は地元メディアに対し、2024年9月、ヤンゴンで仕事からの帰宅途中だった夜遅くに拉致されたと述べた。この少年は入国管理省に連行されると、年齢が19歳と記載された国民登録証を、正確な年齢と生年月日ではないと本人が主張したにも関わらず、係官から発行された。少年は3ヵ月の訓練後に第101旅団に送られたが、脱走に成功した。

国軍の徴兵手法では、都市部の貧困層、避難民、身分証明書を持たない人、ロヒンギャ・ムスリムを含む民族的・宗教的マイノリティが圧倒的に標的とされている。軍政は、ミャンマー国内法では市民権が認められていないため徴兵の対象とはなりえない、無国籍状態にあるロヒンギャ数千人を違法に徴用している

クーデター以来、国軍は国内14の州・地方域すべてで子どもを徴兵している。以前は4つの州・地方域だけだった。軍政部隊は、反政府勢力とつながりがあるという理由で子どもを拉致し、拷問を加えている。

反軍政勢力や民族武装集団の捕虜となった戦闘員には、子どもが含まれている。

反政府勢力の支配下にあるカレンニー州を統治するカレンニー暫定執行評議会の当局者は、軍政による徴用時に17歳だった兵士を少なくとも3人捕虜にしたと述べた。うち1人は拉致され、後の2人は家族と別に暮らしていた状態で徴用された(1人は家出で、もう1人は働いていた)。

国際労働機関(ILO)は2024年9月、ミャンマーでは、子どもが徴用されないようにと家族が児童労働に頼るケースが増えていると報告した。「徴用年齢に近い、またはその年齢に達した子どもたちは、兵役を強制されるだけでなく、国軍に反対する人びとへの暴力行為にも使用されるのではないかという恐怖の中で暮らしている」と、ILOは2025年3月に報告している。

2025年6月、ILOは、ミャンマーが「子どもの強制徴用を含む、軍へのあらゆる強制徴用の停止」などの勧告に従わなかったことを受け、使用されることの稀なILO憲章第33条を発動した

2012年にミャンマー国軍は、子どもの徴用と使用の停止に向けた、国連との共同行動計画に署名した。2025年2月6日、軍政国防相は、この計画の署名から現在までに1,057人の子ども兵士を家族のもとに帰したと発表した。3月19日、国連は、ミャンマー国軍が、子どもの時に徴用された93人を解放したと発表した

国連事務総長はまた、子ども兵士の徴用と使用に関与したミャンマーの非国家武装集団7つをリストアップした。軍政に反対する国民統一政府の顧問は、レジスタンス勢力が支配する地域には多くの子ども兵士がおり、自発的に反政府勢力に加わった者もいると述べた。

2019年9月、ミャンマーは、武力紛争への子どもの関与についての「子どもの権利に関する条約の選択議定書」を批准した。この議定書は、戦闘への直接参加の最低年齢を18歳とし、18歳未満の子どもの強制採用や強制徴用を禁止している。ミャンマーが承認する2007年の「パリ原則」は、子どもをポーター、調理、伝令、または性的目的で使用することを禁止している。ミャンマーで制定された2019年の子どもの権利法も、18歳未満の者を軍隊や非国家武装集団に採用することを禁じている。

「ミャンマーの軍政や反政府勢力に影響力を持つ関係各国の政府は、子どもに対するこのような悲惨な搾取の停止を強く求めるべきだ」と、前出のバウクナー・リサーチャーは述べた。「ドナーは、現地の団体と協力し、ミャンマーのすべての子どもの被害者に支援と社会復帰の機会を提供すべきである」。

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