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ミャンマー:家族や友人を人質にする行為 すぐさま停止を

ある人物を屈服させるために別人を拘束することは集団処罰に該当

This image from an April 18, 2021 news report by Myawaddy TV shows people who security forces detained in the Yankin township of Yangon, Myanmar. © 2021 Myawaddy TV via AP

(バンコク)ミャンマー治安部隊は活動家やデモ参加者、反政府派の家族や友人を恣意的に逮捕・拘束していると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。当局は、不当に拘束する全員を即時無条件で釈放し、あらゆる集団処罰を終わらせるべきである。こうした集団処罰は、国際人権法の基本原則に違反する。

政治囚支援協会(AAPP)の資料によると、2021年2月1日の軍事クーデター以降、治安部隊は家宅捜索等に入ったものの目的の人物が見つからない場合について、代わりに乳児を含む少なくとも76人を拘束している。うち少なくとも48人が現在も拘留中であり、中には既に3カ月以上拘束されている者もいる。

「家族や友人を人質にすることは、ミャンマーの治安部隊が人びとを脅し、活動家を屈服させようとするために用いる凶悪な戦術だ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理フィル・ロバートソンは指摘する。「当局は、集団処罰を直ちに停止し、このように違法な理由で拘束されているすべての人を釈放すべきである」。

目的の容疑者の確保に失敗した治安部隊は、その親や子ども、親族、または捜索中にたまたま居合わせた友人などを逮捕している。以下がいくつかの事例である。

  • 3月8日、ロバート・サンアウン弁護士を捜索していた治安部隊は、その娘と義理の兄を拘束し、18日後に釈放した。
  • 4月22日、政府に反対する「市民的不服従運動」(CDM)のメンバーであるプー・ドー・シアン・パウ氏を捜索していた治安部隊は、母親とコープ記念バプティスト教会の元牧師である父親(70)を拘束した。2人は現在も拘束されている。
  • 4月29日、チンランド・ポスト紙の編集長サライ・バウィウクタン氏を捜索していた治安部隊は、その父親を拘束し、いまだ釈放していない。
  • 5月23日、治安部隊は、ストライキ中の消防労働者の両親と弟を逮捕した。3人は現在も拘束されている。

治安部隊は、親族を拘束する前に暴力を振るうという目撃証言のある事例もある。潜伏中の活動家ティン・トゥット・パイン氏は、5月2日、氏とその弟を探していた治安部隊が、祖母(90)と母親(64)に危害を加えたとメディアに話している。治安部隊は氏の母親を拘束して「扇動」罪で起訴した。5月28日、母親には禁固3年の有罪判決が下された。またAAPPによると、チャウンウー郡裁判所に勤務するカウン・ミャット・トゥ判事補を捜索していた治安部隊は、その母親を拘束前に殴った。この女性は現在も釈放されていない。

幼い子どもたちや乳児でさえ、一時的ではあるが拘束されているという事例もある。治安部隊は、ストライキ指導者コー・ジェイラー氏の親族5人を拘束し、うち2歳と4歳の女の子も対象となった。同様に、デモ指導者ウー・タンウィン氏を捜索していた警察は、その妻と生後20日の乳児も拘束した。全員がその日のうちに釈放されたものの、こうした拘束劇によって、市民的不服従運動の活動家やメンバーに対し、家族も危険な目に遭うぞというおぞましいメッセージが送られていると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ある人物と関係があるという理由だけで人を拘束することは、集団処罰の一形態であり、自由と人身の安全への権利、および公正な裁判を受ける権利を侵害していると述べた。

「ミャンマー軍事政権は、当人がそもそも逮捕されるべきではない人物と親しい人を拘束することで、ただでさえ違法な拘束を、新たな害悪を発するレベルにまで引き上げている」と、前出のロバートソン局長代理は述べた。「関係国政府は、早急に対象限定型制裁と世界的な武器禁輸措置を行うべきだ。然もなくば、軍政は今後も人権侵害行為をエスカレートしていくことになるだろう。」

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