(ジュネーブ)-武力紛争下での学校・大学の軍事利用禁止に向けた国際ガイドライン策定に関して、ノルウェー政府は指導的な役割を果たしている。世界各国政府はノルウェー政府とともに、生徒と教師を紛争の惨禍から守るため、このイニシアチブを支持すべきである、と「教育を攻撃から守る世界連合(GCPEA)」は述べた。ノルウェーの2014年6月13日付の発表は、世界の教育に関する同国の白書に盛り込まれた。

教育を攻撃から守る世界連合(GCPEA)は、難民支援大学人評議会(CARA)、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、国際教育研究所-研究者救援基金(the Institute of International Education’s Scholar Rescue Fund: IIE-SRF)、ノルウェー難民評議会、不安定情勢と紛争下における教育の保護プログラム(Protect Education in Insecurity and Conflict)、セーブ・ザ・チルドレン、危険な状況にある研究者保護ネットワーク(Scholars at Risk Network)、国連教育科学文化機関(ユネスコ)、国連難民高等弁務官事務所、ユニセフからなる団体。

「軍隊などの武装組織は、学びの場を軍事利用し、戦場に変えてしまう」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの子どもの権利局局長代理で、GCPEAの学校・大学の軍事利用防止ワーキンググループの座長も務めるビード・シェパードは述べる。「学校を軍事利用から守る取り組みを進めるノルウェー政府の努力は、多くの生徒が安全な環境で教育を受けられるようにするものだ。」

武力紛争下にある国では、その大半で、国軍と武装組織が学校を軍事利用している。このことは子どもに、また子どもが教育を受ける権利に深刻な被害を与えている。軍隊によって学校が防衛陣地、兵舎、拘禁施設、訓練キャンプ、武器庫、作戦基地などに変わっている。軍隊は学校を部分的に占拠し、生徒が戦闘に巻き込まれかねない状況のもとで勉学を続けさせようとすることが多い。部隊が展開し、兵士も学校を使うことで、生徒は性暴力、強制労働、強制徴用の被害を受ける。

2005年以来、紛争下にある24か国で、政府軍また武装組織が学校を軍事利用している。地域はアフリカ、アジア、ヨーロッパ、中東、南米に広がっている。学校は敵対勢力の使用により攻撃対象となるので、子どもと教師が死傷し、建物が全壊または一部破壊されている。学校の軍事利用の悪影響としては、長期の休校、出席者・登録者数の減少、学生・教師・地域への心理社会的被害なども挙げられる。学校の軍事利用は特に少女にとってマイナスが大きい。性的嫌がらせや虐待を恐れ、多くの親が軍隊に占領された学校に娘を通わせたがらないからだ。

ノルウェーの発表を受け、GCPEAとヒューマン・ライツ・ウォッチは、学校の軍事利用が子どもに与える影響を説明したノルウェー語のビデオを公表した。ビデオの写真や映像は、ヒューマン・ライツ・ウォッチ調査員が調査中に収集したものと、ヒューマン・ライツ・ウォッチの依頼を受けたマグナムとゲッティ・イメージの写真家が撮影したものだ。ビデオにはマララ・ユスフザイさんの映像も収録している。パキスタンでの女子教育の必要性を訴えたことでタリバーンに銃撃されたマララ氏が、父の経営していた女子学校を訪れるシーンだ。一家がスワート渓谷から逃れているあいだに、パキスタン軍はこの学校を占拠・使用していた。

ノルウェー政府は「学校・大学の軍事目的使用を防止する指針」の文案確定プロセスでとりまとめ役を務めている。指針案は、世界各地域の12か国の外務・防衛・教育の各省および政府軍から派遣された専門家との協議により策定された。既存の戦時国際法、国際人権法、および各国軍隊の優れた実践例が参照されている。

「本指針実現に向けてノルウェー政府が真剣に取り組んでいることは、すべての生徒に安全な学習環境を保障する上で画期的な出来事だ。きわめて危険な状態におかれ、教育を受ける権利が否定されている生徒たち、世界各地の戦闘地域で生活する子どもや青年にも安全な学習環境が保障されるべきだ」と、GCPEAのディヤ・ニジョ-ネ(Diya Nijhowne)代表は述べた。

本指針は武力紛争当事者に対し、学校・大学を軍の活動を支援するいかなる目的にも使用しないよう求めている。武力紛争の全当事者は、本指針を責任ある行動へのガイドラインとして使用し、生徒の安全と教育に損害を与えないよう努力すべきだ。各国は、完成した指針への公的な支持を表明し、国内の軍事戦略・マニュアル・訓練への指針適用を公約することが求められる。

学校の軍事利用停止への支持表明を希望する生徒の皆さん、先生方は、EMUScampaign.orgのサイトまで写真やメッセージをお送りください(日本語のFacebookページ「学校に軍隊はいらない」はこちら:https://www.facebook.com/GakkoniGuntaihaIranai) 。

「学校は生徒でいっぱいになるべきだ。兵士はいらない」と、前出のシェパード局長代理は述べる。「ノルウェー政府は、学校を生徒の手に返すべき時が来たというメッセージを、世界に先駆けて発信している。学校の軍事利用は防止するべきだ。」

詳細情報は以下よりどうぞ:

-“From Sagene to Sanaa,” by Bede Sheppard, originally published in Dagsavisen: https://www.hrw.org/news/2013/10/07/sagene-sanaa

-Lessons in War: Military Use of Schools and Other Education Institutions during Conflict, from the Global Coalition to Protect Education from Attack:
http://protectingeducation.org/sites/default/files/documents/lessons_in_war.pdf

-Education under Attack, “Military use of schools and universities: changing behavior,” from the Global Coalition to Protect Education from Attack:

http://protectingeducation.org/sites/default/files/attachments/eua_2014_thematic_essay_military_use.pdf

-“Safe No More: Students and Schools under Attack in Syria,” Human Rights Watch report, June 2013:
https://www.hrw.org/news/2013/06/05/syria-attacks-schools-endanger-students

-Attacks on Education: The Impact of Conflict and Grave Violations on Children’s Futures, Save the Children, 2013:

http://protectingeducation.org/sites/default/files/documents/grave_violations.pdf

-Childhood under Fire: The Impact of Two Years of War in Syria, Save the Children, 2013: http://protectingeducation.org/sites/default/files/documents/childhood_under_fire_embargoed_until_13th_march.pdf

-Protecting Education in Insecurity and Armed Conflict: An International Law Handbook, Education Above All:
http://www.protectingeducation.org/sites/default/files/documents/eaa_protecting_education_in_insecurity.pdf

-“Classrooms in the Crosshairs: Military Use of Schools in Yemen’s Capital,” Human Rights Watch report, September 2012:
https://www.hrw.org/reports/2012/09/11/classrooms-crosshairs