(東京) ― 日本政府はタリバン新政権の下で危険にさらされているアフガニスタンの民間人を至急保護するべきだ、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチが菅義偉首相宛ての書簡で述べた。
また、日本政府は、2021年9月13日から開会予定の国連人権理事会第48回会期で、アフガニスタン全土における人権侵害の事実調査及び報告のメカニズム設置の決議を支持するとともに、難民や市民社会への支援を拡大すべきだ。
「日本と関わりがあったアフガニスタン人全員に対する保護さえ日本政府はまだ提供していない。危険にさらされているアフガニスタン人のために、保護と支援を拡大すべきである」とヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗は述べた。「それに加えて、日本政府は、危険にさらされているアフガニスタン人のために、本件危機の重大性に見合った規模の緊急の移住・再定住プログラムも導入するべきだ。」
日本は、日本政府の業務に直接または間接に関わったことがあるアフガニスタン人、その他のかたちでも日本と関係があるとみなされる立場にあるアフガニスタン人すべて及びその親族に対する保護を提供するべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。
現在日本政府が検討中と報道されている人道的在留ビザスキームは、日本大使館及びJICAのアフガニスタン人職員とその家族、および日本のNGOを含む日本の組織・団体で直接仕事をしていたアフガニスタン人職員のみを対象としているとされる。しかしながら、日本は、JICAプログラムによるアフガニスタン人留学生や、日本のNGOのパートナー団体のアフガニスタン人スタッフ、およびその家族も対象とするべきだ。
カナダ、ドイツ、英国、米国などの政府は、危険にさらされているアフガニスタン人のための追加的な人道受け入れを行うとしている一方、日本政府はこれまで、家族再統合のための方針や再定住のプレッジを発表していない。
「日本政府はこれまで謳ってきた難民保護への支持を実行に移し、カナダ、ドイツ、英国、米国などの各国と同様、危険にさらされているアフガニスタン人のための追加的な受け入れ方針を示すべきだ」と土井は述べた。「これまで日本が、アフガニスタンに長年関わり続け、経済援助国としてのリーダー役も務めてきたからこそ、生き延びるために今アフガニスタンを逃れようとしているアフガニスタン人を救う責任がある。」