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日本:菅首相はLGBT平等法の制定を公約すべき

平等を求める長い歴史を築いてきた活動家らの動画を公開

(東京)― 日本政府は、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー等)の人びとを守る差別禁止法を東京2020大会開催前に導入できず、日本国内のあらゆる人びとの権利を前進させる機会が失われたと、LGBT法連合会、アスリート・アライ(Athlete Ally)、All Out、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日、日本で長年活動するLGBT活動家5人の動画の公開を機に述べた。菅義偉首相は、LGBT平等法の制定を直ちに公約すべきである。

オリンピック憲章は「オリンピズムの根本原則」のひとつとして、性的指向を含む「いかなる種類の差別」も明示的に禁じている。しかし、与党である自由民主党は2021年の通常国会で日本初となるLGBT法の成立を目指すとしたにもかかわらず、6月の通常国会で実現させることができなかった。

「アスリートを含む日本のLGBT当事者は、法律の下で平等な保護を受ける権利がありますが、現在、セクシュアリティを公表し活動しているアスリートは極めて少なく、多くは恐怖と偏見からクローゼットの状態です。これは、日本社会におけるカミングアウトの難しさを物語っています」と、LGBT法連合会(日本の80を超えるLGBT関連団体から成る全国連合会)の理事である五十嵐ゆりは述べる。「オリンピックは、社会の誰もがオープンで安全に暮らせるように、日本に法的保護を導入し、通過させる素晴らしい機会であると考えていましたが、今回成立しなかったことは極めて残念です。」

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の感染拡大を受けて1年延期された後、2021年7月23日に開幕する。開催国の日本からは、LGBT等をオープンにしているアスリートは1人も出場しない。このことは、LGBT等の人びとにとって安全でインクルーシブな環境が整備されていない日本の現状の表れだ。

LGBT法連合会など日本のLGBT団体はこの6年間、LGBTの権利を保護する法案の制定を求め、政党や国会議員への働きかけを行ってきた。2020年には、LGBT法連合会、アスリート・アライ、All Out、ヒューマン・ライツ・ウォッチが、日本語英語で「#EqualityActJapan」キャンペーンを展開し、性的指向や性自認による差別を禁止する法律の制定を訴えた。

2021年1月、国内外の116団体が法案の成立を求める共同書簡を菅総理大臣宛で提出した。3月には、国内外の106,250人分の署名を添えて、LGBT平等法の制定を求める請願書を、自民党をはじめ全ての政党に提出した。国内外20社以上の企業・団体も賛同している。

こうした動きを受け、自民党は、2021年の通常国会でLGBT等に関する法律の成立を目指すと発表したものの、実現できなかった。報道によれば、自民党内の何人もの保守系議員が法案に反対した。自民党内でもLGBT法を支持する声も大きかったにもかかわらず、菅首相はLGBT平等法への明確な支持を公の場で表明しなかった。

「LGBTQ+のアスリートはいつでもトップレベルの大会に出場してきた。オリンピック憲章には、すべてのアスリートがスポーツにアクセスすることは人権であると明確に書かれている」と、アスリート・アライの創設者兼代表のハドソン・テイラーは述べる。「今回のオリンピック・パラリンピックの開催国である日本には、国内のLGBT等の人びとに差別からの法的保護を保障することで、人権分野で世界をリードする存在になる力がある。こうした保護措置がなければ、真のオリンピズム精神―インクルーシブネス(包摂性)と平等の精神―が完全なかたちで実現されることはない。」

日本国内では、LGBT等の平等を支持する世論が近年急拡大している。2020年11月に発表された全国意識調査では「(性的マイノリティに関して)いじめや差別を禁止する法律や条例の制定」に「賛成か、やや賛成」が約88%を占めた。

東京都は2018年10月、オリンピック憲章に沿って、LGBT等の人びとへの差別を禁止する条例(「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」)を制定した。この「五輪」条例は、五輪大会を契機に行われた人権に関する検討協議の直接の成果であり、世論の支持も高い。しかし差別が禁止されている地域とされていない地域の間に格差がある状況であり、国レベルでの対応の必要性が明らかだと、キャンペーン団体は指摘する。

「LGBT+の人びとへの法的保護の実現は、日本にとって決定的に重要であり、長らく遅きに失した一歩である」と、オールアウトのマット・ベアード代表は述べる。「五輪開催前に差別禁止法を成立させなかったことで、日本政府はオリンピック憲章を遵守しないだけでなく、法案を支持する88%の国民の意思をも無視しているのだ。」

日本は、市民的及び政治的権利に関する国際規約や、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約など、差別からの保護を政府に義務づける中核的な国際人権条約を批准している。

「日本のLGBT等の人びとは、強い社会的圧力にさらされているが、そうでない人びとよりも法的保護が弱い」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗は指摘する。「菅首相はLGBT平等法の制定を直ちに公約し、LGBT等の平等の実現を日本の恒久的なオリンピック・レガシーに加えるべきである。」

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