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日本:ベトナム警察の支援を停止せよ

重大な権利侵害を行っている公安省

Japan's Prime Minister Yoshihide Suga, left, shakes hands with Vietnam's Prime Minister Nguyen Xuan Phuc after the exchange of documents at the Government Office in Hanoi on Monday, October 19, 2020.  © 2020 Nhac Nguyen/Pool Photo via AP

(東京)―日本政府は、長きにわたる重大な人権侵害の責任を負っているベトナム公安省への無償資金協力計画を即時取り消すべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。

2020年10月19日に外務省は、ベトナム公安省が「テロ対策」および「治安維持」の目的で現時点不特定の資機材を購入するため、3億円(284万米ドル)を無償資金協力すると発表した。外務省はこの支援により、ベトナムの「治安維持能力の改善と強化」および「社会の安定化を通じた経済社会開発」に「寄与」することが期待されるとしている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局局長代理フィル・ロバートソンは、「日本政府は、被疑者や人権活動家を拷問するなど、長らく人権侵害で悪名高いベトナム公安省にたとえ1円でも支援すべきではない」と述べる。「テロ対策と治安維持の名の下に資機材を供与すれば、平和的なデモ活動をベトナム警察がさらにたやすく残酷に制圧できるようになるだけだ。」

公安省傘下にある警察は、過去数十年にわたって拘禁した無数の市民に暴力をふるい、拷問し、虐待してきたが、その責任を問われ処罰されることはほとんどなかった。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2014年の報告書「人びとの安全を脅かす警察:ベトナムでの被拘禁者の死亡、警察の暴力」で、ごく普通の犯罪被疑者に対する組織的な拷問の実態を調査・検証している。

9月にチャン・ヴァン・クイン(Tran Van Quynh・40歳)氏は、タイグエン省Na Maoコミューンの警察官3人に逮捕理由の説明もないまま拘禁され、激しい暴力を受けたと訴えた。同氏は数日後に入院し、腸管破裂と診断されている。伝えられるところによると、警察官のうち2人が面会に訪れ、治療費の支払いを約束したが、当局は当該事件を捜査していない。

2019年11月、ダン・タン・トゥン(Dang Thanh Tung・26歳)氏が、ハナム県警察の拘禁下で死亡。警察は、売春のために少女たちを調達する犯罪に関与したとして9月に同氏を逮捕していた。警察は死亡原因を病気によるものと主張しているが、妻のグエン・ティ・ラン(Nguyen Thi Lan)氏はある記者に、夫の体に多くの打撲傷があったのをみたと語っている。打撲傷は胸、背中、腕、太もも、臀部にあり、口は腫れて血だらけだったという。また、打撲傷の様子を動画に収めようとするのを警察に阻止されそうになったと証言した。

ベトナム警察はまた、テロ対策の名のもと、威嚇や逮捕を通して表現や集会の自由といった基本的権利の弾圧に関与している。2019年1月には「テロ」容疑をでっち上げて、オーストラリア国籍のチャウ・ヴァン・カーム(Chau Van Kham)氏を逮捕。同氏は、多くの国で合法的かつ平和的に活動している野党ベトナム革新党(Viet Tan)に所属しているが、ベトナム政府は同党を恣意的に「テロ組織」に指定している。同年11月、ベトナムの裁判所は同氏に12年の刑を言い渡した。氏は同国にいる130人超の政治犯の1人であり、基本的権利を平和的に行使したために拘禁されている。

日本の無償資金協力を利用して購入する資機材の種類に関するヒューマン・ライツ・ウォッチの照会に対し、外務省は今後ベトナム政府と調整して決定すると回答した。

日本は供与ではなく、公安省の大規模な制度改革を実施するよう、ベトナム政府に対し公的および私的に要請すべきだ。これら改革には、一般市民の苦情を受けつけ、警察の内務および専門的責任部門の監督をする独立した苦情処理委員会の設置が含まれなければならない。

同省はまた、国連の「法執行官のための行動綱領」や「法執行官による力および火器の使用に関する基本原則」をはじめとする国際的な法的基準を満たすために、武力行使をめぐる警察規定および手引きを改正する必要がある。そして、独立した市民社会団体が警察署内の留置場や刑務所・拘置所などの拘禁施設を監視できるようにし、かつ逮捕された被疑者が即時に弁護人と接見できるよう保障しなければならない。

ロバートソン局長代理は、「日本の納税者は、政府が海外の開発援助プログラムをめぐり人権原則を前提条件にするよう強く求めるべきであり、まずはベトナムでもっとも人権侵害的な公安省へ無償資金協力に異を唱える必要がある」と述べる。「日本の指導者たちは、すでに悪い人権状況をさらに悪化させるのではなく、真の改善と改革を模索するため、ベトナム政府に対して持っている多大な影響力を駆使すべきだ。」

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