Aung San Suu Kyi delivers a speech at an investment seminar organized by the Japan External Trade Organization in Tokyo on October 8, 2018. 

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(東京)— 日本政府は、ミャンマーに対し、ロヒンギャやその他の少数民族に対する国軍の残虐行為の責任追及を公式に求めるべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。日本政府は、軍隊に利益をもたらすか、少数派集団を犠牲にすることになる日本からの投資を思いとどまらせるべきだ。

2019年10月21日、ミャンマーの事実上の指導者であるアウンサンスーチー国家最高顧問は、東京で行われる日本貿易振興機構(JETRO)主催の第2回ミャンマー投資カンファレンスで講演し、ミャンマーには投資とビジネスの大きなチャンスがあると宣伝する予定だ。これまで日本で行われた投資フォーラムでの講演で、アウンサンスーチー氏は、ロヒンギャに対する軍の深刻な人権侵害を軽視あるいは無視してきた。

「日本政府はミャンマー国軍(タッマドー)による人権侵害への批判に、哀れなほど及び腰でいる。日本政府関係者は今回のアウンサンスーチー氏の訪問を活かし、この問題を直接提起すべきだ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理フィル・ロバートソンは述べた。 「日本は国連人権理事会の理事国に最近再選された。これを踏まえて政府は、ミャンマーでの人権侵害を助長しないよう、日本企業に呼びかけることなど、人権外交政策の改善に努めるべきだ。」

2017年8月、ミャンマー国軍はラカイン州北部でロヒンギャに大規模な民族浄化作戦を開始した。人道に対する罪が行われ、74万人以上のロヒンギャがバングラデシュへの避難を強いられた。現在、100万人近くのロヒンギャが、人工稠密なバングラデシュの難民キャンプで生活する一方、60万人がミャンマー国内に残り、基本的人権が認められないなかで避難民キャンプや村落から出ることができないでいる。

日本は、人権侵害についてミャンマー政府の責任を追及しないどころか、何もなかったように関係を続けている。2019年10月上旬、安倍晋三首相は東京でミャンマー国軍最高司令官ミンアウンフライン上級大将と会談したが、同上級大将については、国連のマンデートを受けたミャンマーに関する事実調査ミッションが、ミャンマーでのロヒンギャおよびその他の少数民族への「ジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪」で捜査対象にすべきと名指している。安倍首相は同氏に対し、ミャンマー政府が立ち上げた信用できない国際調査委員会の提案にしたがって行動し、ラカイン州での人権侵害の疑いに対処すべきと述べたが、政府のアカウンタビリティを追及する国際社会の取り組みには触れなかった。

国連の事実調査ミッションは、2019年8月、ミャンマー国軍が国内経済と、国軍の主要なコングロマリットであるミャンマー・エコノミック・ホールディングス社(MEHL)およびミャンマー経済公社(MEC)とに及ぼす支配の実態についての報告書を発表した。 これら2社は、「選挙で選ばれた民間人の監督にたいする国軍の自律」を強化し、「国際人権法と国際人道法にたいする幅広い侵害行為を生じさせる、国軍の軍事作戦に財政的な支援を行う」ことで、莫大な収入と強い影響力を生み出している。事実調査ミッションは、国際社会に対し、国軍を財政的に孤立させるよう急いで措置を講じるよう求めた。

日本の投資家は国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を順守すべきだ。これによれば、企業は、自らの活動を通じて人権侵害を引き起こしたり、助長することを回避するとともに、取引関係によって企業活動と直接的につながっている人権侵害の発生を防ぐように行動することで、人権尊重の責任を果たすべきとされる。これに従うなら、国軍と関係のあるミャンマー企業とは取引をせず、ラカイン州のロヒンギャの人権状況を悪化させるような投資は行ってはならない。

日本政府は、ミャンマー国軍によるロヒンギャへの犯罪行為の責任追及を強く求める、国際的な取り組みに協力すべきだ。たとえば、国連でのミャンマー関連の人権決議に賛成すること、ミャンマーの人権状況に関する国連人権特別報告者のミャンマー入国を認めるよう同国に要求すること、ミャンマーに関する国連の新たな独立調査メカニズムとの緊密な協力などがある。

「人権を無視して対緬投資を奨励することは、ミャンマー政府と国軍による、ロヒンギャに対する凶悪な行為のさらなる隠蔽を更に後押しするものだ」と前出のロバートソン局長代理は述べた。「国軍司令官たちは、広範囲に及ぶ犯罪について法による正義を逃れているだけではない。国の経済的かつ民主的な成長を妨げているのである。」