(ニューヨーク)-  アフガニスタン政府は数万人の子どもが危険な環境で働くことを防止できておらず、わずか5歳の子どもですら働いている。これはアフガニスタンの労働法に違反する行為だと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書で述べた。

Helal, 10, works as a brick maker at a brick kiln outside Kabul. He told Human Rights Watch that the brick mold is heavy and his hands hurt working with wet clay. Helal doesn’t go to school because he has to work. 

© 2016 Bethany Matta/Human Rights Watch

今回の報告書『「子どもたちはあらゆる苦痛を耐えている」:アフガニスタンでの危険な児童労働』(全31頁)は、子どもの労働者がアフガニスタンのじゅうたん産業で危険な労働に従事したり、レンガ窯で債務労働をしたり、金属加工場で働いている現状を明らかにした。子どもたちは病気やけがだけでなく、命すら落としかねない作業をする。危険な労働環境と労働安全衛生基準の不徹底が原因だ。こうした環境で働く子どもの多くが、仕事の負担を抱えながら学校に通うか、学業を放棄している。働いているために、アフガニスタンでは多くの子どもたちが学校を早々と退学せざるをえないのだ。児童労働をする子どものうち、通学しているのは半数にすぎない。

「アフガニスタンでは何千人もの子どもが、毎日自分たちの健康と安全を危険にさらしながら家族の生計を支えている」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理フィリム・カインは述べた。「アフガニスタン政府は自国の子どもたちを、ひいては国の未来を守るためにもっと努力することが求められている。子どもの危険な労働を禁じる法を遵守させるべきだ。」

Video: Kids at Work, Out of School in Afghanistan

The Afghan government is failing to protect tens of thousands of children, some as young as 5, from hazardous conditions in the workplace, in violation of Afghanistan’s labor laws. 

アフガニスタン政府は危険な産業での児童労働を禁止する条項を遵守させておらず、労働法を改正して国際基準に合致させる取り組みを前進させていない、とヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。労働法の遵守を担当する部局には立ち入り調査を行う能力がないことが多いため、禁止対象の労働をする子どもが認知も保護もされない状態のままである。

2014年にアフガニスタン政府は、子どもの就労を禁じる19の危険な職業を列挙した。絨毯製造、金属加工、レンガ製造などだ。リソース不足が、危険な産業で児童労働が根強い主因なのは確かだが、アフガニスタン政府も、違反者の処罰を通じて労働法を遵守させ、搾取的な労働環境を廃止する戦略をとることに二の足を踏んでいる。

首都カブールでレンガ窯を経営する男性はヒューマン・ライツ・ウォッチに対しこう述べた。「ここでは子どもが働いています。10歳、いや8歳から15、16歳までです。朝は3時に起きて、夜まで働きます…。つらいと言いますが、こうするしかないのです。子どもたちは家族を支えるためにここにいるのです。あらゆる苦痛に耐えてこの仕事をしているのです。」

アフガニスタンでは、極度の貧困から危険な労働につかざるをえない子どもも多い。この国はいまだ世界最貧レベルだ。土地がないこと、文字が読めないこと、失業率が高いこと、国の大半で武力紛争が続くことなどが大きな要因となり、貧困が慢性化し、児童労働が絶えない。

カブールの金属加工場で働く子ども(13)はこう話してくれた。「指を金属の先端で切ったり、ハンマーで叩いてしまったこともあるし、金属を整形する機械に挟んだこともあります。爪をハンマーで叩いたり、機械に挟んだりしてしまうと、黒ずんで、しまいにはがれてしまうのです。」

年齢にふさわしく、健全かつ安全な環境での仕事は、子どもの発達に役立ち、一家の基本的なニーズを支えることもあるだろう。だが教育の妨げとなったり、子どもの健康や安全を損なう可能性があったりする仕事は、一般に「児童労働」と見なされており、国際法では禁止されている。

コミュニティベースの学校を弱い立場の子どもでも通えるようにするパイロット事業は一定の成果を上げているが、こうした学校への支援はニーズを満たすほどではない。極度の貧困が続く限り、アフガニスタンから児童労働を一掃することはできない。しかし政府とドナー側は、とくに危険な、または不健全な環境で働くことに伴うリスクから子どもを守る方策を講じることはできる。

たとえば全国を十分にカバーできるまで労働監督官を増員すること、危険な産業のモニタリングを優先すること、アフガニスタン政府に対し、児童労働撲滅に向けた政策や基準、規制の設定と実施に対象を絞った技術支援を提供することなどだ。アフガニスタン政府と海外のドナーは、働く子ども全員に教育支援を行きわたらせるためにより多くの資源を投入すべきである。

アフガニスタン政府には、危険な児童労働を根絶させる方策を直ちにとるべき国際法上の法的義務が存在する。アフガニスタン政府と海外ドナーはともに、とくに危険な、または不健全な環境での労働に伴う危険から子どもを保護するため、直ちに行動を起こすべきだ。

「子どもが成人になり、安全な環境で働けば、アフガニスタンの多くの家庭の大黒柱になってくれることだろう」と、前出のカイン局長代理は述べた。「アフガニスタン政府には、労働現場の子どもたちを保護する法律の施行を徹底させるとともに、子どもたちが一家を支えることと引き換えに、自分自身の教育も安全も犠牲しないで済むようにする義務がある。」