Militiamen in Kunduz province, Afghanistan.

(ワシントンDC)— アフガニスタン新政府は、これまで長きにわたって責任を問われることなく重大な人権侵害に関与してきた政府と軍の関係者たちを訴追すべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書内で述べた。米国政府は、2015年3月に予定されるアシュラフ・ガニ大統領訪米の際に、過去の人権侵害に対する法の裁きを最優先するよう圧力をかけるべきだ。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局局長代理フィリム・カインは、「アフガン前政権と米国はあまりにも長きにわたって、権力を悪用する個人とその部隊が責任を問われることもなく、残虐行為を繰り返すのに目をつぶってきた」と指摘する。「ガニ政権はすでに、拷問廃絶のための国家行動計画に着手するという、歓迎すべき一歩を踏み出している。米国はタリバーン政権崩壊後に、軍閥ほか多数の有力者にポストを与えるのを助けた国だ。さればこそ、今度は重大な人権侵害者をその地位から追うべく、国際社会の動きを主導して新政権を支援すべきである。」

報告書「『みな今日死ぬことになるだろう』:アフガニスタンの有力者をめぐる不処罰という負の遺産」(全96ページ)は、近年の重大な人権侵害に関与する警察・情報機関・民兵組織とつながった8人の有力者の背景を解明するもの。本報告書では、被害者に対する公的な救済措置もない暴力行為をめぐる長年のパターンを反映した、複数の象徴的な事件を調査・検証した。有力者たちが不処罰の風潮を享受するなかで、アフガン政府と国際社会による、アフガン国家警察の部隊や国家保安局関係者、アフガン地方警察(以下ALP)部隊へ武器供与・訓練・活動審査・説明責任を問う取り組みに対し、懸念がかなり深まっている。

ハミド・カルザイ前大統領の政権がこれら個人とその部隊に法の裁きを下すことはなかった。この不処罰は人権侵害を助長し、タリバーンほか反政府勢力の支持につながる地元の不満に油を注いだのである。ガニ大統領は治安部隊の行動をめぐる説明責任を問い、拷問の公然たる容認に終止符をうつと誓った。しかし、これは政治的に繊細な課題であり、その実行にはドナー国・機関の完全な支援体制が必要となるだろう。

本報告書は、2012年8月から実施した、人権侵害の被害者およびその家族、ならびに目撃者、政府関係者、各コミュニティの長老、ジャーナリスト、人権活動家、国連関係者、アフガンおよび国際治安部隊の関係者など、計125人への聞き取り調査を基にしている。なお、タリバーンほか反政府勢力の人権侵害については、異なる枠組みでこれまでも取り組んできたため、本報告では言及していない。

2012年に父親を地元民兵に殺害されたクンドゥズ州のある住民は、次のように証言した。「自宅の屋上に出て、一家が武装した男たちに囲まれているのを知りました[中略]。父はすぐそこに座っていて、そして言ったんです。『カリマ(イスラム教信仰告白の言葉)をすべて唱えなさい、みな今日死ぬことになるだろうから』とね。」

政府と軍の部隊は人権侵害の歴史を持つが、通常処罰を受けることはない。たとえば、ハキム・シュジョイー (Hakim Shujoyi)指揮官の部隊は、ウルズガン州の一般市民を数十人規模で殺害してきたが、逮捕状とは裏腹にいまだ自由の身だ。彼が米軍の支援を享受しているという証拠さえある。パクティカ州では、タジク系のアジズラー(Azizullah)指揮官(2014年6月時点でウルグン地区のALP指揮官)率いる部隊が、複数の誘拐および殺害に関与している。米特殊部隊は、同指揮官の不法な残虐行為の評判を耳にしているにもかかわらず、これまで密接に活動を共にしている。

カンダハール州の州警察長官アブドゥル・ラジク(Abdul Raziq)准将は、超法規的処刑の命令に直接関与している。そして、アサドゥラ・カリード(Asadullah Khalid)元国家保安局長官が医療措置を求めて訪米した際には、オバマ大統領が個人的に面会。悪名高き人権違反者に対する米国の支持を示す、強力なメッセージとなった。

前出のカイン局長代理は、「2001年後半にタリバーン政権が崩壊して以来、アフガニスタンが専門的な法執行機関や裁判所といった、人権擁護の肝となる分野において果たした進展は、限定的なものに過ぎない」と指摘する。「アフガンの同盟国・機関は、長期的な改革より、悪しき関係者との短期的な関係を優先したことで諸問題を悪化させてしまった。今こそこの病巣を一掃する時だろう。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチはアフガン政府に対し、治安部隊によるすべての人権侵害疑惑を捜査し、重大な侵害行為に関与した政府と軍の関係者を解任し、適切に訴追するよう強く求めた。内務省は不規律な武装集団を解散し、これまで犯した侵害行為の責任を問うべきだ。

米国をはじめとするアフガン治安部隊の主なドナー国・機関は、今後の援助供与にアカウンタビリティ(真相究明・責任追及)改善という条件(殺害事件・強制失踪・拷問などの訴追)をつけるべきだ。また、治安部隊に対する直接的な支援が、司法機関の改善に準じるものであることを確認すべきだろう。米国のリーヒ法は、外国の治安部隊が重大な人権違反を犯している確かな証拠があり、加害者に対する法の裁きに向けた「実効的措置」が全くとられていない場合は、軍事援助を禁じている。米国はこれをしっかりと実施すべきだ。

前出のカイン局長代理は、「アフガニスタンにおける治安上の不安材料は、反体制勢力のみではなく、やりたい放題で腐敗した政府部隊が公然たる支援を受けていることでもあるのだと、アフガン政府とそのドナー国・機関は認識すべきだろう」と述べる。「アフガン政府とドナー国・機関は、ともに国内有力者への危険な共依存を解消し、実行可能で権利が尊重された同国の発展戦略へのもっともな希望を、アフガニスタンにもたらす必要がある。」