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北朝鮮: 金正恩第一書記の誕生日に祝う事など何もない

2015年、人権侵害体制を継承した指導者に法の裁きは下されるか

(ソウル)— 1月8日は北朝鮮の最高指導者・金正恩氏の誕生日だが、祝賀は国全土に広がる重大な人権侵害と鋭く対比するものだ、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。金正恩第一書記は最高権力の座について3年の間に、監視体制および市民の脱北を阻止すべく国境管理を強化。また国外から入ってくる情報も遮断した。北朝鮮から逃れようとする人びとへの組織的な尋問・拷問の政策も、変わることなく続いている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理フィル・ロバートソンは、「金正恩第一書記は父と祖父による負の遺産をそのまま継承し、弾圧と恐怖で北朝鮮を支配している」と述べる。「脱北した人権侵害の被害者たちは、北朝鮮政府による犯罪の重さを世界に知らしめた。これに対抗し、今や金第一書記は、脱出しようとする人びとを黙らせ、罰するのに2倍の努力を払うようになってしまった。」

金第一書記は10代の3年をスイス留学に費やしたため、政権を継承した際には、改革を許すのではないかという憶測も専門家の間に一部広がった。が、北朝鮮の人びとがヒューマン・ライツ・ウォッチに証言したのは、金正恩体制下で強まった弾圧と国境管理だった。国境付近での移動はこれまで以上に制限されているという。政府の許可なしに国を出ることは反逆行為とみなされ、中国で捕らえられ帰国した人びとは、逮捕や拷問、政治犯収容所での強制労働に直面することになる。

被疑者とその家族の処刑および政治犯収容所への収容が、政府に対する恐怖感の永続を可能にしている。2013年11月、金第一書記は最高指導部にいた叔父の張成沢氏をおおやけに粛清し処刑。権力の更なる集中と恐怖感の強化を狙ったものだった。政府は市民も日常的に公開処刑している。処刑の根拠とされるのは「国家に対する罪」や「人民に対する罪」といったあいまいな国家安全保障上の犯罪、ならびに当局が「特に重大」とみなした詐欺や密輸など、多様な非暴力的犯罪だ。

北朝鮮政府は金第一書記の公式な生い立ちを発表しておらず、幼少期をめぐる基本的な事実の一部はいまだ謎に包まれている。一部の北朝鮮市民による証言から、生年月日は1983年1月8日と信じられているが、82年生まれだとする韓国当局者もいる。報道では、金第一書記は1998年〜2000年にスイスのベルン近郊に留学し、その後平壌の金日成大学に2002年〜07年まで在籍したとされている。

2014年2月、国連人権理事会が設置した調査委員会が、北朝鮮政府が組織的に犯した人権侵害は、その規模、深刻さにおいて現代社会でほかに類がないものであると、報告書内で結論づけた。これら侵害には、皆殺し、殺人、奴隷、拷問、拘禁、レイプや強制堕胎ほかの性的暴力などが含まれる。翌3月には人権理事会が報告結果を支持する決議案を採択。12月に今度は国連総会が賛成116、反対20、棄権53で北朝鮮人権決議を採択することで、これに続いた。同月22日には、安全保障理事会が北朝鮮における人権状況を初めて討議している。国連総会および人権理事会の決議はともに安保理に対し、歴代北朝鮮政府の人道に対する罪をめぐる国際的なアカウンタビリティ(真相解明・責任追及)の確保に向け、行動するよう強く求めるもので、北朝鮮の事態の国際刑事裁判所(以下ICC)への付託という可能性も含まれている。こうした要請の流れで、金第一書記は在任期間の3年間に自身が先導した権利侵害を、今後ICCに付託される可能性が出てきた。

前出のロバートソン局長代理は、「北朝鮮政府による人道に対する罪への法の裁きは、とうにその実現期限を過ぎている」と指摘する。「金正恩体制で続く残酷性は、金第一書記が弾圧の手を緩めるかもしれないという絵空事を次々と葬ってきた。これら組織的かつ広範な人権侵害は、今ようやく、国際社会による行動課題の中心舞台に登場したのだ。」

 

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