(ニューヨーク) 2012年1月13日に著名な政治囚が複数釈放されたことは、ビルマの人権状況改善に向けたとても重要な一歩だ。しかし依然投獄中の政治囚も即時無条件で釈放されるべきである。ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日こう述べた。
本日釈放された政治囚には、1988年の民主化蜂起を指導し、後に「88年世代学生」グループを結成した運動指導者のミンコーナイン、ニラーテイン、その夫でジミーことチョーミンユ、テーチュエのほか、シャン民族運動指導者クントゥンウー、2007年の民主化運動の指導者で仏教僧のウー・ガンビラ師、ジャーナリストのゾーテットゥエ、ングェソウリン、フラフラウィンや、ブロガーのネーポンラッらがいる。
ビルマ国営メディアは1月12日、国家建設の任務への参加を可能にするため、囚人651人が釈放されると報じた。
「国際社会は長年にわたって長期刑を受けた政治囚の釈放を求めてきたが、その要求がついにビルマ政府を正しい行動に導いたようだ」とヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理エレイン・ピアソンは述べた。「ビルマ政府は、釈放された活動家が公的な活動や今後の選挙に参加する際に、一切の障害を設けないことを確約すべきだ。」
米国国務省はビルマには少なくとも1,100人の政治囚が存在すると見ており、タイに本部を置くビルマ政治囚支援協会の推計によればその数は1,500人を越える。ビルマの司法制度が閉鎖的であること、報道の自由が存在しないこと、またアジアで最貧国の1つで情報通信手段の整備が(特に紛争の影響を受けているへき地の非ビルマ民族居住地域)不十分なことを考えると、上記のリストのいずれも、非暴力的な手段による政治的な意見表明を理由に拘束されている人の相当数が含まれていない可能性がある。
ヒューマン・ライツ・ウォッチはビルマ政府に対し、独立した国際的なモニタリング機関が、残る政治囚全員の状況を確認し、公表することを許可するよう求めた。
「今回の釈放は当事者と家族にとって素晴らしい知らせであることはもちろんだ。しかし各国政府は、全政治囚の釈放に向けた働きかけを継続し、このプロセスについての国際的な監視を引き続き求めていくべきだ」と前出のピアソンは指摘する。「長年ビルマの刑務所は、独立したモニタリングのメカニズムを一切拒否してきた。ビルマ政府は今回の釈放に引き続き、残りの政治囚の居場所と現状を確認する国際的なモニタリングの実施を許可すべきだ。」