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ビルマ: 政治囚を釈放し改革の義務を果たせ

ビルマ大統領は政治囚釈放を求める要請に応じよ

(ニューヨーク)ビルマ政府は、自ら宣伝する改革プロセスへの真剣な関与を示すため、ビルマの全政治囚を即時無条件釈放すべきである。ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日このように述べた。

2011年9月13日にヒューマン・ライツ・ウォッチは、ビルマのテインセイン大統領に対し、国内の政治囚約2,000人の釈放を求めた3,000筆を超える個人署名を送付した。

「ビルマ政府の改革方策は国際社会から賞賛されているが、まだ行動が伴っていない」とヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理エレイン・ピアソンは指摘する。「約2,000人の政治囚の釈放は、政府の誠意を示す効果的な指標だ。」

潘基文国連事務総長や世界各国の多数の政府からの長期的な要請にもかかわらず、2005年以来、長期刑で投獄された政治囚が目立った人数で釈放されたことはない。事務総長によるビルマに関する最新の報告(8月5日付)は「現在も獄中にいる残りの政治囚全員の収容を続ければ、政府の努力への信頼には疑問符がついたままで、十全にはならない」と述べた。5月16日の「特赦」ですべての刑事犯罪について1年の減刑があったが、政治囚はわずか77人が釈放されたにすぎない。

8月には、ビルマの人権状況に関する特別報告者であるトマス・オヘア・キンタナ氏が、2010年2月以来の国内での事実調査を実施。政府関係者との会合からは変化への肯定的な兆候がみられるとする一方で、氏は「政治囚釈放が国民和解に向けた中心的かつ必要な一歩」であることを強調した。

キンタナ氏はラングーンのインセイン刑務所で複数の政治囚と面会し、政治囚側からはさまざまな拷問と虐待、とくに「尋問中の睡眠制限や食事の禁止、殴打、生殖器を含む身体の部位への火あぶりに関する証言」を受けた。国際社会との対話では、いかなる場合でも、ビルマ当局側は政治囚の存在を否定し、被拘禁者はすべて一般犯罪者だと主張し続けてきた。しかしキンタナ氏の訪問以降は、複数の下院議員が政治囚全員に対する特赦を提案している。

氏の訪問の翌日、ラングーンの非公開法廷は、ビルマ陸軍の元士官ネーミョージンに対し、政府の国民和解に向けた取組を批判したとして電子取引法違反で10年の刑を宣告した。政府を批判した者はいまだに恣意的に逮捕され、尋問中に虐待を受けている。

「政権が変わってもなお、ビルマ当局は平和的な発言を理由に人びとを投獄している」と、前出のピアソンは述べた。「もし現政権が民主的との信任を得たいなら、国会で全政治囚の釈放を求める議員の声を聞くべきだ。」

ビルマ政府は3月に改革に着手し、この中で進歩的な経済社会政策の導入と汚職の根絶、全国人権委員会の設置を公約した。また、国外の反政府活動家への非公式な帰国の呼びかけや、民族組織との和平交渉の実施を公約するなど、人権促進に関する積極的なレトリックを用いている。反対運動指導者アウンサンスーチー氏は8月にテインセイン大統領と初会談した。また、ビルマ政府は国連やEU高官の訪問を受け入れた。新しい情報によれば、米国の特使でビルマ政策調整担当者のデレク・ミッチェル氏が現在ビルマを訪問し、政府および反政府勢力の要人との会見を行っている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは国連、東南アジア諸国連合(ASEAN)および関係諸国に対し、ビルマ政府に言行一致を求め、まず全政治囚の釈放を開始するよう求めるよう要請した。ヒューマン・ライツ・ウォッチの要請書は、国連とASEAN、米国、EU、中国、インドにも送られる。

「政府はいくつかの公約を行っているが、ビルマ国民の人権状況はまったく改善されていない」と前出のピアソンは指摘する。「ビルマについては設定されたハードルがあまりに低いので、ささいなことが本物の行動と混同される。政治囚釈放は手始めとして非常に重要だ。」

背景情報

ヒューマン・ライツ・ウォッチでは、キャンペーン「鉄格子の向こう側:ビルマの政治囚を釈放せよ」を通して、現在約2,000人とみられるビルマの全政治囚の釈放実現を目指している。このキャンペーンでも取り上げている、長期刑で獄中にある著名な活動家は次の人たちである。

ザーガナ:ビルマで最も有名なコメディアンで、サイクロン・ナルギスに対する軍事政権の対応が不十分だったと批判したため、35年の刑に服している。

ウー・ガンビラ:仏教僧(32歳)。2007年8月~9月にかけて起きた非暴力抗議行動の指導者の一人。63年の刑で投獄中。

スースーヌウェ:女性の労働運動家。当時ビルマ訪問中の国連特使が滞在するホテルでビルマ政府を批判する横断幕を掲げた。8年6カ月の刑で投獄中。

ミンコーナイン:元学生指導者。65年の刑で投獄中。

ネーポンラッ:ブロガー(30歳)。2007年民主化運動に関する情報を自分のブログを使って広めた。その後12年の刑を宣告されて投獄中。

現在も獄中にある政治囚約2,000人のうち、国民民主連盟党員は348人、2007年の平和的な抗議行動に参加した仏教僧は222人、民族活動家は310人、「88世代学生」グループの活動家は38人とそれぞれ推計される。

メディア規制が2010年の総選挙以降緩和されたとの見解もあるが、ビルマ政府は現在も23人のジャーナリストを投獄している。うち17人は放送局「ビルマ民主の声」の記者かビデオ・ジャーナリストだ。

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