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ビルマ:残りの政治囚も釈放を

意義ある改革のためには 思いきった改革が必要

(ロンドン) - ビルマで政治囚が少なくとも120人釈放されたが、基本的権利と自由の尊重を確保するための法改正ならびに政治改革がこれに続かなければならないと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。

ビルマ政府は2011年10月12日、約120人の政治囚を釈放した。この中には著名なコメディアンであるザーガナー、女性労働運動家のスースーヌウェなどがいる。今回の釈放は、囚人6,359人への恩赦の一環であり「高齢であり、健康上の問題や障害を抱え、一定期間の服役の後で模範的な行動をした」人物が対象とされたものの、政府は釈放者のうちに政治囚が何人いるかは明らかにしなかった。

「今回釈放された政治囚たちは、ビルマの劣悪な刑務所にそもそも投獄されるべきではなく、計り知れないほどの苦しみに耐えてきた」とヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理エレイン・ピアソンは述べた。「これらの政治囚たちを投獄する根拠とされた法はまだ存在しており、いつまた使われてもおかしくない。ビルマ政府が過去の政権と真に異なることを示したいのであれば、議会を召集し、平和的に政治意見を述べることを処罰する法を撤廃すべきだ。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチはビルマ政府に対し、非暴力の政治活動で有罪判決を受けた政治囚全員を、その容疑の根拠が治安関係法にあるか、反体制派を弾圧するために定められた一般犯罪容疑にあるかにかかわらず、即時無条件釈放するよう求めた。

2007年8月から9月にかけての非暴力反政府デモのあと、ビルマの政治囚はそれまでの2倍の推計2100人に達した。治安部隊は「88世代学生」グループのメンバーや仏教僧侶・尼僧、ジャーナリストら運動参加者の身柄を拘束した。多くの政治囚が、刑法をはじめ、結社・集会・表現の自由を制限する結社法や、外国メディアのインタビューに応じたり、情報を国外に送信したりした人びとを訴追するために用いられる電子取引法に存在する曖昧な条項に基づき有罪判決を受けている。

当局が爆発物や火器、ポルノの所持をでっち上げるケースや、国家防護法(1975年)のほか、扇動や宗教の侮辱、武装蜂起の呼びかけを禁じた難解な刑法上の規程といった厳罰主義的な法律を理由に、政治的な動機に基づいて起訴されるケースもある。ヒューマン・ライツ・ウォッチは2009年の報告書『忘れられたビルマの政治囚たち』で、著名な政治囚の拘束や裁判に関する詳しい情報を数多く掲載した。

民主化運動指導者アウンサンスーチーや、喜劇俳優のザーガナー、「88世代学生」の指導者のミンコーナインなど多くの政治囚はこれまでにも釈放と再逮捕を何度も経験している。例えばザーガナーは1988年と1989年、1989年から1993年、そして仏教僧のデモを支持したことで2007年には1月間それぞれ拘束された。さらに2009年5月には、2008年にビルマを襲ったサイクロン「ナルギス」への政府の対応を批判したことで当局に逮捕され、電子取引法違反で59年の刑を宣告された(後に35年に減刑された)。

ミンコーナインは1989年から2004年まで投獄され、刑期の大半を独房で過ごした。その後も2006年後半に数ヵ月間再度身柄を拘束された。現在の収容は2007年8月に始まったもので、物価値上げの抗議を理由に警察に逮捕された。同氏と35人の仲間が、複数の容疑で65年の刑を宣告されている。

「過去数十年間、ビルマの政治活動家の多くはビルマの刑務所の内と外を行き来してきた」と前出のピアソンは述べた。「ビルマ政府が、自分の考えを表明し、政府や軍を批判した国民を投獄するのをやめるかどうかが試金石となる。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチはビルマ政府に対し、全政治囚の即時無条件釈放のほか、以下の改革と政策転換を求める。

・表現・結社・集会の自由など国際的に承認された権利を制限する法律を全廃し、治安部隊に対し、非暴力活動への参加を理由にした逮捕を止めるよう命ずること

・2011年末に予定される補欠選挙より前に政治改革を始めること。具体的には、政党登録法を改正し、国民民主連盟(NLD)など野党に対し、投獄経験者への規制のない、完全な政治参加を保証すること。

・民族紛争地域での軍による人権侵害行為(超法規的処刑、民間人への攻撃、拷問、強制労働など)の停止に向けた必要な措置を講ずること。また人道団体や人権監視団体に対し紛争地域へのアクセスを許可すること

「政治囚釈放は、ビルマでの人権尊重に向けた新たな段階の表れかもしれない。だが政治囚の釈放だけがその尺度ではない」とピアソンは指摘する。「民族紛争地域で今も続く国軍による人権侵害を停止することもまた、ラングーンのような都市部での規制を緩和することと同様に重要だ。」

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