(ニューヨーク) - イラン司法権は、1月と2月初めに逮捕された女性6人をただちに解放すべきだ。ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日こう述べた。6人は市民団体「嘆きの母」を支持して行なった非暴力活動との関連で逮捕されたと見られる。

昨年6月12日に実施されたイラン大統領選挙の結果に対する反発が広がっているが、「嘆きの母」は、選挙後に起きた国家の暴力行為の犠牲になった人びとの母親たちが、2009年6月に結成した市民団体。ここ数ヵ月で団体への支持を公言するイラン国民が増えている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ中東局長代理ジョー・ストークは、「『嘆きの母』の支持者たちは、他のイランの市民運動家の場合と同様、公の場で団体を支持したために拘束されていると見られる」と述べる。「拘束されてから何週間もたつのに、いまだに家族との面会も、弁護士との接見も許可されていない。」

直近の逮捕劇では、情報省職員が2月6日と8日の夕方と早朝に「嘆きの母」の支持者5人を自宅で逮捕した。拘束されているのは、オモルバニーン・エブラーヒーミー、エルハーム・アフサーニー、ジーラー・カーラームザーデ・マクヴァンディー、ファーテメ・ラーステガリーとレイラー・セイファーラヒーだ。

6人目のファルザーネフ・ズィーノーラヒーは、1月9日に逮捕された「嘆きの母」の支持者32人に含まれる。その日、彼女たちはラーレフ公園で非暴力の集会を開こうとしていた。当局は逮捕された32人のうち31人を数日間で段階的に釈放。しかしズィーノーラヒーだけが約2カ月間たった現在も拘束されている。

当局がこの6人に容疑を伝えているかは定かではない。だが6人は一人としていかなる容疑でも訴追されていないとヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

アフサーニーの母がヒューマン・ライツ・ウォッチに語ったところによれば、情報省職員6人が2月8日に自宅を訪れて家宅捜索を行い、アフサーニーの所持品を複数押収し、本人に同行を命じた。アフサーニーの母が理由を尋ねると、情報省職員たちは「選挙後に起きた事件について尋問したいことがある」と言い、アフサーニーはエヴィーン(エビン)刑務所に送ると付け加えた。

母によれば、アフサーニーは、テヘランに住む恵まれない母子に社会福祉事業を行う登録済みの市民団体での活動に特に熱心だった。「嘆きの母」主催の集会に1、2回参加したこともあるという。家族は集会への参加が逮捕の理由であることを後で知った。

別の支持者の家族はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、情報省職員は一般捜索令状を持って自宅に入ってきたという。この一般令状があると、過去数カ月間の違法行為に関与した疑いのある者の建物を捜索することができる。職員は家宅捜索を行い、コンピュータ1台、CDやノート類など個人の所有物を押収した。拘束理由に関する情報は一切与えず、身柄をエヴィーン(エビン)刑務所に移送するとだけ伝えた。

「嘆きの母」の2月21日付声明によれば、支持者6人はエヴィーン(エビン)刑務所内で、情報省管轄下の第209セクションに拘束されている。6人の家族は毎晩8時から11時まで同刑務所前で、大統領選挙から現在までの8カ月間に家族が同刑務所に収容された多くの人々と共に集会を行っている。

拘束中の女性6人の家族のうち、電話で彼女たちと話をすることができた家族が複数ある。うち一人がヒューマン・ライツ・ウォッチに語ったところによれば、通話時間はごく短く、看守によって内容も厳密に監視されている。「彼女はただこう言っただけでした。『私は元気よ。心配しないで』と。会話はだいたい1、2分で[中略]私が質問をすると、彼女は、はいかいいえの返事しかしませんでした。」

家族たちは、拘束中の本人の情報を得たい一心で、エヴィーン(エビン)刑務所と革命裁判所支部を行ったり着たりすることを強いられることも多い。家族の一人は、本人に弁護士をつけるため弁護人選任届に署名をもらおうと面会したが、刑務所当局に拒否されたという。弁護士を選任する権利はイラン国内法ですべての被拘禁者に認められている。

イランも締約国となっている「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(国際人権B規約)の第9条は恣意的抑留を禁じている。また「逮捕される者は、逮捕の時にその理由を告げられるものとし、自己に対する被疑事実を速やかに告げられる」とするだけでなく、「裁判官又は司法権を行使することが法律によって認められている他の官憲の面前に速やかに連れて行かれる」と定める。同規約はまた、イラン政府に対して結社の自由と平和的な集会の権利を尊重するよう求めている(第21条および第22条)。