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米国連邦控訴裁判所が、強制送還に直面するエジプト人男性に対し、エジプト政府が米国に約束した秘密外交保証に関し、取消しを求めて裁判所の審査を要求する権利を確認。画期的な判決です。本件外交保証では、エジプト政府は、送還後、このエジプト人男性を拷問しないと「保証」していました。この男性は、キリスト教の一派のコプト教徒、サメー・コーザム(Sameh Khouzam)氏で、エジプトでの宗教迫害の結果、1998年に米国に亡命していました。しかし、コーザム氏はエジプト国内で殺人容疑で指名手配中であるというエジプト政府の主張に基づき、米国政府は氏を拘束。国際法上、拷問の危険性がある国への送還は禁止されているため、エジプト政府は、送還後にコーザム氏が人権侵害に遭うことはないと「外交的に保証」したのです。

 ヒューマン・ライツ・ウォッチは、5つの人権団体を代表し、アミカス・キュリエ意見書(法廷助言人が裁判所に提出する専門家意見書)を提出しました。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、アミカス意見書で、エジプト政府は、長い拷問の歴史をもっており、外交的に保証すると約束したとしても、拷問に対するセーフガードとして有効とは言えないと主張。また、この意見書で、米国が、拷問に関する外交的保証に対する不服申し立てを認めない世界で唯一の国家であることも指摘しました。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、エジプト・ヨルダン・ロシア・シリア・ウズベキスタンに送還された人びとが、拷問されないという外交的保証がされたにもかかわらず、実際には送還された後拷問を受けたことを調査して報告しています。今回のコーザム判決は、母国に送還された場合に拷問される危険の高いグアンタナモの収容者たちにとって、意味のある判決といえます。

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