欧州人権裁判所(ECHR)は、先日の判決で、チェチェン人男性3名の強制失踪・殺害事件について、ロシアを強く非難しました。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、この事件を2001年に報告書発表していました。判決は、ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書を引用。同報告書は、集団墓地でみつかった遺骨の多く(上記犠牲者3名を含む)が、ロシア軍に拘束中に目撃されて以来消息を絶っていた人たちのものであることを示す証拠を引用していました。
2001年、ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査員たちは、チェチェン紛争の被害者たちが自分や家族が受けた紛争下の人権侵害について法の下の正義を実現するのを助けるため、NGOロシア法の正義イニシアティブ(Russian Justice Initiative, RJI)を設立。チェチェンでの人権侵害事件についてロシアの裁判所はほぼ完全に無力のため、RJIは、チェチェンの被害者たちの裁判を欧州人権裁判所に提訴しました。
裁判所は、死亡した犠牲者の家族へ損害賠償8万ユーロの支払いを命じました。そして、ロシア政府のチェチェンにおける違法行為を認定し、ロシア政府に対し、さらなる人権侵害がチェチェンで起きるのを予防する義務を課しました。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは今後も、ヨーロッパの外交官たちと欧州評議会の場で協働して参ります。そして、同外交官たちが、ロシア政府に対し、欧州人権裁判所の判決を遵守するよう圧力をかけるよう注視していきます。ロシア政府は、被害家族に損害賠償金を支払うだけでなく、チェチェンでの人権状況を改善するため、具体的な措置を取らなければなりません。
