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 今年8月、南オセチア自治州分離を巡るグルジア対ロシアの紛争が勃発。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、一般市民の紛争被害を調査し、世界に知らせて民間人被害を抑制するため、すぐに調査員たちを現地に派遣しました。紛争開始からの数日間、現地で紛争の状況を監視していた独立した国際組織はヒューマン・ライツ・ウォッチのみ。私たちは、タイムリーで信頼できる情報源として、メディアや各国政府のキーパーソンたちに多くの現地情報を提供しました。

ロシアとグルジアの相手国の残虐さについての非難合戦はエスカレート。民間人の死者数についてもお互い全く違う数字を発表。そのため、状況は益々緊迫し、報復攻撃の危険が高まってしまいました。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、一般市民に犠牲者がでているのには、ロシアにもグルジアにも責任があることを明確にし、当初数千人と言われていた南オセチアでの死者数は実はそれよりかなり少ないことを明らかにするなど、両国間の緊張を緩和するために迅速に行動しました。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが明らかにした情報のため、紛争当事者の現地での残虐行為が抑制されるという効果もありました。たとえば、オセット人勢力がグルジア系住民の村を次々に略奪し放火するのを、ロシア軍は野放しにしていました。ヒューマン・ライツ・ウォッチがこの事実を明らかにした直後、ロシア軍に新たな指令が出され、ロシア軍は(少なくとも一定期間)、こうしたオセット人勢力の暴力行為を止めるため行動をとりました。

 そして、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ロシア軍もグルジア軍もクラスター爆弾を使用したことも明らかにしました。その結果、グルジア政府は、新しく採択されたばかりのクラスター爆弾禁止条約への署名を積極的に検討し始めたと明らかにするに至りました。また、私たちの緊急提案に応じ、グルジア政府は、クラスター爆弾の不発弾の危険性について一般市民に知らせる教育プログラムを直ちに開始しました。

皆様のあたたかなご支援で、世界各地の人権を守る活動を続けることができます。

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