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 国際刑事裁判所(ICC)の主任検察官は、ICC裁判部に対し、スーダン・ダルフール地方で行われた残虐な犯罪により、オマル・アル・バシール スーダン大統領に対する逮捕状を発付するよう請求しました。

 こうした急展開を受け、スーダンの友好国たる南アフリカ、リビア、ロシア、中国などは、裁判手続きを1年間延期するよう、国連安全保障理事会に対し即座に要求しました(安保理は延期権限を持つ)。また、現在安保理メンバーであるこれらの国々は、バシール大統領の裁判手続きが延期されない限り、ダルフールで展開する国連平和維持軍のマンデートは延長しない、とけん制しました。

 ヒューマン・ライツ・ウォッチは、正義の実現を妨げようとするこの動きを阻止するにあたり、極めて重要な役割を果たしました。ヒューマン・ライツ・ウォッチのアドボカシー(ロビーイング)担当スタッフたちは、在ニューヨークの各国政府代表部や世界各地の主要首都の外務省で、このあからさまな脅迫に屈しないよう、各国政府に求めるために奮闘しました。無数のランチミーティングやディナーミーティング、レセプション、会議、そして電話やEメールなどで、正義の実現を他の安保理メンバー国に働きかけ続けたのです。そして、コスタリカとベルギーの強力な協力を得ることができ、この二国の協力もあって、他の加盟国の支持も得ることができました。また、予期しなかったことですが、米国の協力まで得ることができました。米国はこれまでICCに対して顕著な敵対姿勢を見せていましたが、今回はバシール大統領に正義の裁きを受けさせるため、ICCへの反感をひとまず忘れることにしたのです。

 結局、安保理は、バシール大統領の裁判続きを延期することなく、平和維持部隊のマンデート延長を承認しました。これは重要な勝利ですが、今後もスーダン及びその友好国のこうした脅迫的な戦略が続くと思われます。私たちは、1ヵ月以内にまた動きがあると予測しています。

 ヒューマン・ライツ・ウォッチは、この5年間、ダルフールで犯されている犯罪について詳細な事実調査を行い、記録にまとめて状況を明らかにしてきました。今後も、こうした非人道的な犯罪の容疑者たちが法廷で裁きを受けることを求め続けます。

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