ケニア政府は、マウント・エルゴン地域に展開する治安部隊を撤収すると発表しました。治安部隊が、同地域で拷問そのほかの残虐行為を犯していることを、ヒューマン・ライツ・ウォッチは報告書(日本語のサマリーはこちら)で明らかにしていました。 ヒューマン・ライツ・ウォッチの提案のとおり、先日、イギリス政府がイギリス軍のケニア軍に対する軍事訓練を中断すると発表をしたため、ケニア治安部隊の撤収という政治決断に拍車がかかりました。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、イギリス政府のこの政策転換を実現するため、イギリスのガーディアン紙、タイムズ紙、インデペンデント紙、デイリー・テレグラフ紙、スコッツマン紙やBBC放送などで、マウント・エルゴン地域でイギリス軍仕込みの部隊が行っている残虐行為について、大々的にニュース報道されるように仕掛けました。BBCのチャンネル4のニュース番組は、この問題について長時間の特集を組み、ヒューマン・ライツ・ウォッチの専門家2人が解説を行いました。また、イギリス政府の政策転換の決定前に、ヒューマン・ライツ・ウォッチの専門家スタッフが英国国際開発省(DFID)の招きでロンドンを訪れ、イギリス政府関係者に対し、マウント・エルゴン地域で行われている残虐行為についての調査結果を報告しました。また、ヒューマン・ライツ・ウォッチの別の専門家は、英国高等弁務官ナイロビ事務所やロンドンの外務省で、ブリーフィングを行いました。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは現在、ケニア政府に対して、徹底的な調査を行ったうえで拷問などの重大な残虐行為の責任者を訴追するよう求めています。